40代あるある!? 胃の衰えをひた隠し、老いの「レッテル」は断固拒否
―[40歳からの[正しい老け方]研究]―
“成長”ではなく“下降”が始まる40歳。老眼、白髪、加齢臭……我が身に訪れる老化現象。その変化に過剰に抗うでもなく、絶望するでもなく、ただ老いていくにはどうすればいいのか? 誰もが直面する「老化の受け入れ方法」を考えてみようじゃないか。
●中田健二さん(仮名)48歳
【症状】萎縮性胃炎
【自覚年齢】45歳
【処方箋】トンカツ定食
ある日のランチタイム、フライを食べて嘔吐。それがトラウマになるも、「老人扱いはされたくない」と同僚や部下と同じ、ガッツリメニューをオーダー。まだまだ見えを張りたい虚飾型
◆胃の衰えをひた隠す。老いの「レッテル」は断固拒否!
こと、老化に関しては、体はわかっていても、心がついていかないことがある。現在進行形で葛藤中なのは、文具メーカーで営業職に携わる中田健二さん。異変は、ある日のランチタイムに起こる。
「若い部下と一緒に、いつものように昼メシに行ったんです。食べたくて注文したフライ定食だったのに、いざ運ばれてきた料理を目にしたら、なぜか『えっ! こんなに食えないよ!』って思っちゃったんですよね。でも、上長として場の雰囲気を壊すのも何だし……無理やり完食したんですが、だんだん気持ち悪くなって……」
おかしいなと感じたものの、「たまたま疲れていただけ」と自分を納得させ、不安を打ち消すように翌日から再びガッツリ系ランチに挑んだという。
「から揚げ、カキフライ、トンカツ……と食べ続けました。そうしたら何日目かにひどく気持ち悪くなって、会社に戻ってトイレに直行。嘔吐に冷や汗、眩暈、頭痛に襲われ、30分トイレにこもりっきり。これは仕事にならないとフラフラで帰宅しました」
結局、その夜は胸やけがして寝つけず、何か悪い病気では、と不安になって翌朝病院へ。
「医者には『なんか食べすぎた?』って言われました。加齢とともに胃の粘膜が薄くなっていくから、脂っこいものや辛いものは胃に負担が掛かると。白身魚、豆腐などの淡泊な食事、500kcal以下の食事を心掛けろとか言われて。オレ、もう老人なのかよと(苦笑)」
もともと胃は丈夫だっただけにショックは大きく、食欲旺盛な同僚を横目に事実を受け入れられない。でも、体は正直だった。
「ある日、ランチミーティングの弁当に入っていた天ぷらを、まったく無意識にお吸い物に浸して油を落としてたんです。上司やみんなの前で箸が止まるよりはいいだろうと思ったんでしょうね」
思いのほか油が落ちて胸やけしなかったため、その後も揚げ物を頼んではこの方法で油取りをするのがクセになってしまった。
「みんなには『コクが出て味噌汁がうまくなるんだよー』なんて冗談でごまかしてます。正直、あの吐いた日がトラウマになって揚げ物を見るだけで気持ちが悪いんですよ。『食べられない』と言って、飲み会や焼き肉にも誘われなくなるのは寂しいし、まだ、若いヤツらと変わらずにできる自分でありたい。やっぱり『老人』というレッテルを貼られるのは勘弁ですよ!」
とはいえ、ひとりランチならざるそばだし、家では淡泊な食事に晩酌も控え、ひそかに胃の粘膜をいたわる日々。職場でのカミングアウトはまだ先になりそうだが、理想は「毎日お肉だったのが徐々に週3回は魚になって、『最近、和食好みになりましたねー』と自然に言われること」なんだとか。
― 40歳からの[正しい老け方]研究【4】 ―
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