エンタメ

K-POPアイドルが世界進出するホントの理由

T-ARA

メンバーそれぞれが韓国では女優として映画、ドラマ等に出演しているT-ARA。「ポピ、ポピ、ポピ」と韓国中にキャットダンス旋風を巻き起こした

2NE1、SHINee、そして第二世代ガールズユニットとの呼び声の高いT-ARA、Secret。‘11年半ばを過ぎてもK-POPアイドルの日本進出はとどまるところを知らない。そして、その世界進出の流れは日本のみならず、ベトナム、中国などのアジア圏から遠く西欧や南米、中東諸国にまで及んでいるという。 事実、今年6月には、フランス・パリでSMエンターテインメントの所属タレントがコンサートを行ない、大盛況のうちに終わらせた。これには韓国メディアも蜂の巣をつついたような大騒ぎで、「追加公演を求めてデモの行列! SM公演にフランス人1万4000人が熱狂!」「シャルル・ド・ゴール空港では太極旗を持ったファンがSHINeeを大合唱!」「コンサートの売り上げは20億ウォン突破!」などと派手に報じている。 華やかに見えるK-POP勢の世界進出だが、「高い志に基づいて……というよりも、致し方なく海外に進出するしかなかったというのが実情です。いわば、喉元に刀を突きつけられた形のグローバル化です」と語るのは韓流事情に詳しいフリーライターの小野田衛氏。 「単純に日韓の音楽産業の市場規模を比較すると、日本の3400億円に対して韓国はわずか120億円。30分の1に過ぎません。韓国の人口は4800万人と、日本の人口・1億3000万人の3分の1なので、単純に人口に対する市場規模を比較すると10分の1となるわけです。国内の市場がこれほど脆弱なのにアーティストの数だけは多い。供給過多状態に陥っているのが今の韓国音楽界で、海外に活路を見いだすのは自然の成り行きでしょう」  韓国のCD不況は深刻だ。00年には100万枚以上売れたアルバムが4作あったが、いまや1万枚でヒット作と呼ばれるほど。03年以降は50万枚以上売れたアルバムが1枚もない。韓国コンテンツ振興院によると、00年に4104億ウォン(約287億円)だったCD市場は、05年には1087億ウォン(約76億円)と約4分の1まで落ち込んでいる。 「そもそも“韓流”というものが真剣にビジネスの対象として捉えられ始めたのは、05年頃です。その当時はそれまでIT業界に入っていた韓国の投資資金がエンターテインメント産業に流れ始めた時期だからです。韓国は銀行の利子が高いことで知られていましたが、この利率が大幅に下げられたことにより、資金が成長産業への投資となって流れていきます。株式上場をするために投資資金を募っていたエンターテインメント系の企業は、『韓国国内だけじゃなく、世界でも稼げるんだな』と投資家に認識されるよう、アピールに必死だったわけです。“見せるための”海外進出――それが当時の業界内の事情でした」 国内需要の脆さと投資マネーの獲得が世界進出の主な理由といえるが、もう一つ重要な要素がある。それは、国をあげての支援体制だ。 ※【後編】へ続く⇒https://nikkan-spa.jp/61252 取材・文/スギナミ 【参考図書】 『韓流エンタメ日本侵攻戦略』 小野田 衛・著 扶桑社新書 本体720円+税 日本の若者たちはなぜK-POPに熱狂するのか?日本人が知らない韓流ビジネスの正体、韓国芸能界の裏側を徹底した現地取材をもとに考察
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