【第24回世界コンピュータ将棋選手権レポート2】初戦から大波乱。勝敗を分けるのはマシン性能だけじゃない

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◆5月4日/二次予選

 昨年と同様に、選手権の二次予選からは、電王戦出場ソフトや決勝常連組が多数登場する。実際のところ上位ソフトは、ほとんど盤石と言えるほど強いのだが、たまに番狂わせがあったり、優勝候補と目されていたソフトが決勝に進出できなかったりといったことがある。

 ところが、今年はいきなり1回戦から大波乱が巻き起こった。なんと大合神クジラちゃんが、先日の電王戦で菅井竜也五段に勝った「習甦」に対して白星を挙げたのだ。習甦はPCの熱暴走トラブルのため相手の手番のときに考える機能をオフにせざるを得ないというハンデを背負っていたようだが、十分に金星だろう。

 また、やはり先日の電王戦に出場した「YSS」も、開発者の山下宏氏がGWの渋滞に巻き込まれてWarsenal Zeroとの対局に間に合わず不戦敗してしまう。YSSは第2回の選手権以降、22年連続で決勝進出という偉大な記録を持っているのだが、記録の更新があやぶまれる事態におちいった。

 さらには先日の電王戦では大将を務めた「Ponanza」がネットワークトラブルで芝浦将棋Jr.に敗れる。名のある上位ソフトが最初からこれほど崩れるのは、かなり珍しいことだ。しかし最大の波乱は、このあとに待っていた。なんと、あのGPS将棋が二次予選で敗退してしまったのだ。

 これまで電王戦を熱心に見てきた方なら、大規模クラスタをしたがえた強大なマシンパワーで三浦弘行八段(当時)を倒した昨年の電王戦でのGPS将棋の強さをご存知だろう。ところが、今年の選手権のGPS将棋は会場が遠方だったことなど諸事情により、クラスタなしのマシン1台で望んでいた。それでも強豪であることには変わりないのだが(※)、そこで引導を渡したのが、なんと最初につまづいたYSSだった。

※この二次予選でマシン1台のGPS将棋は、200台近いマシンをつないだ大合神クジラちゃんに勝っている。またデスクトップPCが壊れてノートPC1台のみでの参戦となったツツカナもしっかり結果を出している。マシンパワーだけが勝敗をわけるわけではない。

 二次予選は9戦して3敗までが突破のボーダーラインなのだが、8回戦のGPS将棋×YSSの時点で両者はすでに3敗しており、直接対決を制したYSSは、そのまま二次予選を突破。これで23年連続決勝進出という、すさまじい残留力である。YSSは先日の電王戦で豊島将之七段を相手に敗れはしたが、やはり強いソフトだというのを見せつけた形となった。一方でトラブルに見舞われた習甦はいいところなく敗退。トップクラスの将棋ソフトはどれも強く、本当にちょっとしたことで明暗がわかれるのだ。

 最終的に決勝に進出したソフトは「激指」「NineDayFever」「ツツカナ」「Bonanza」「Ponanza」「YSS」「N4S」「Apery」の計8チーム。Ponanzaはネットワークトラブルで2敗したが、万全でさえあれば最強クラス。開発者たちの見立てでは、このPonanzaとNineDayFeverが優勝候補筆頭と目されていたが、はたして決勝はどうなったのか。

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●世界コンピュータ将棋選手権
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<取材・文・撮影/坂本寛>

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