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いまジワジワ来ている“巣鴨ッシュパンクバンド”!? その名も「イギリス人」

イギリス人 いまひそかに注目を集めている巣鴨発のパンクバンド、「イギリス人」。2012年にシングル『YES FUTURE』(2013年に『YES FUTURE~Deluxe Edition~』として再発)のリリースを機にパンクシーンのみならず、ファッション業界からの熱い支持も獲得。勢いそのままに続けてリリースされた『WE ARE NOT SOULFUL BAND, WE ARE HEARTFUL BAND』のPVが関西テレビの『音エモン』にて放送されたことでブレイク間近との呼び声高いバンドなのです。  この人を食ったようなバンド名からしてひねくれたユーモア溢れる楽曲を想像してしまいますが、意外や意外ストレートなサウンドと率直な歌詞を聴かせてくれます。そしてボーカル以外のバンド構成がバンジョー、マンドリン、エレキギター、アコースティックギター、ベースと全て弦楽器の潔さ。ハードモヒカンやリーゼントのいかつい連中が横に並んで、それらの楽器を操る姿はなかなかに壮観です。 ⇒【動画】https://nikkan-spa.jp/645428
 もしかしたらバンジョーやマンドリンが使われていることから、イギリスのバンド、ザ・ポーグスを思い出す人もいるかもしれませんね。『SYMPATHY FOR THE KEBAB』という曲ではその期待を裏切ることなく、三連のケルト風メロディを聴かせてくれる芸達者ぶりも楽しめます。  しかし彼らのベースとなっているのは吉田拓郎や中島みゆきといった、いわゆる日本のフォーク、ニューミュージックだといいます。このあたりのルーツにはガガガSPと同じ匂いがありますが、イギリス人のサウンドはもう少しルーズな横のノリを感じさせるもの。それがいわゆる青春パンクとは一線を画す所以です。  イギリス人の代表曲『西巣鴨三丁目の夕日』は、バンドを続けることの苦しさと楽しさがほとんど彼らの実体験そのままに曲にしたためられています。“バンドをやめようか、田舎に帰って就職しようか。”上京して音楽で身を立てようと思った人ならば誰しもが経験してきた感情の揺れ動きが何のてらいもなく綴られている。さらにこの曲のPVではライブでのMCが挿入されているのですが、これがほとんど武田鉄矢の世界。バンドの音楽的な養分としてだけでなく、精神的な支えになっているものこそが日本のフォークやニューミュージックなのだと垣間見えるシーンです。  そんな彼らが出演するライブイベントが7月12日に新宿LOFTで開催されます。ゴールデン街にあるパンクバーH.O.D.の開店10周年を記念したイベントで、あのラフィンノーズやロリータ18号なども参戦。ソウルフルではなくハートフルなフォーキーパンクの魅力を生で味わってみたいという人はぜひ!! ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=645458 <TEXT/音楽批評・石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
YES FUTURE~Deluxe Edition~

巣鴨発、スガモッシュ・パンクバンド、イギリス人が2012年にリリースしたファースト・アルバムが全国流通開始

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