浸水地の新築、増改築が禁止。復興が進まない気仙沼【後編】

― 被災地「地元紙」が見た復興を阻む意外な大問題【3】 ―
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◆復興が始まったとき取引先はあるのか?

 まったく方向性すら見えない状態で、今、何か建てても計画が決まれば撤去される可能性もある。地盤沈下したエリアを“かさ上げ”をするのかどうか。加工工場にしても、以前あった場所で再開できるのか、高台に移転させるのかも決まらず、高台移転についても、1次加工と2次加工を分けるといった論議もなされていて、誰もどうなるかわからない。

鹿折地区に残された大型船

鹿折地区に残された大型船が津波の激しさを物語る

「結局、巨額の予算がかかる事業ですから、地元も国の町づくり事業の財源を待つしかないわけですよ。ところが東京では政権をめぐるゴタゴタばかりで何も決まらない。市も復興計画が立てられず、すぐに動きだしたい企業も、じっと待たされっぱなしの状態なんです」

 さらに怖いのは、待たされる間に気仙沼の水産業そのものが、市場サイクルから外れることだという。

「魚の市場の動きは早い。無理やりでも6月にカツオの水揚げをしたのも、1シーズン逃すと他の港に取引が移ってしまい、復興は絶望的になると水産関係者が考えたから。港の回復まで取引先が待ってくれるという保証はないんです」

 復興計画という道筋も示されないまま半年が過ぎ、市民の我慢も限界がきているという。

「失業保険などで繋いできた人も、そろそろ仕事を本気で探す時期です。ここに職がなければ、仕事のある都市へと人は移ってしまう。希望があればこそ今を耐えることもできますが、その希望さえ見えないのが現状なんです」

⇒【画像】“復興”からは程遠い…写真で見る三陸沿岸の現在

守 竜太 記者
【守 竜太 記者】
入社9年目。水産部門を担当。
地震前から、気仙沼の港と漁業の動きを見守る

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