雑学

まだ間に合う!夏のアジア旅行で親日の空気を感じてみよう

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス氏

 中国、韓国との関係の悪化に改善の兆しが見えないと言われ続けて久しい昨今、旅行先として東南アジアの注目度がさらに増している。せっかく旅行をするのであれば、戦後に日本人が築き上げてきた関係を読み取れる場所を目指してみるのはどうだろうか。そこで、『アジア親日の履歴書』(辰巳出版)など旅行やアジア関係の著作を多数出版している国際犯罪ジャーナリストの丸山ゴンザレス氏に夏の旅におすすめの親日アジア国について話を聞いた。

――この夏、親日アジア国旅行を勧める理由は?

丸山:「日本を嫌っているとされている国に行くよりはいいでしょう。冷静に考えても貴重な夏休みを費やすなら、とりあえず『好き』と言ってくれるとされている国に行くほうがいいでしょう」などと断言したいところですが、中国、韓国、北朝鮮の特定アジアと呼ばれる国々との間で起きている問題は単純に感情論で片付けられません。そこで、まずは特定アジア以外のアジア諸国からどのように見られているのかを知る。そのために夏のアジア旅をしてみるのはどうかということなのです。自分の目でアジア諸国を見ることは視野を広げるきっかけになることでしょう。

 一方で現実的なメリットもあります。今年、一般の会社員の夏休みは3日から最長で1週間程度です。短期間なので移動時間がムダにできません。アジア圏ならば片道おおよそ7時間以内という移動時間で済ませることができます。しかも短い移動距離の範囲にあるのが、いわゆる「親日アジアの国々」です。それらの国々では、日本がどう見られているのか。それを知ることができます。たとえば、日本の音楽やゲームがどこまで浸透しているのか、日本人であることを知った時にどんな反応をされるのか。一般的に中国と韓国以外のアジア諸国は親日だと言われていますが、本当にそうなのかというのを実際に体感してほしいですね。

――親日アジアのなかで特におすすめの国はどこですか?

丸山:拙著『アジア 親日の履歴書』のなかでアジアの国々の親日の度合いを分類しているんですが、代表的な親日国は台湾・タイ・インドです。指標にしたのは現在の経済的な結びつきと、近代史を背景にした精神的な結びつきでした。

 私見ですが、総合1位は台湾かなと思っています。現地を歩いていると、日本の文化がどれほど浸透し受け入れられているのかを実感することができます。日本語も通じるし、レストランでも日本語のメニューがちゃんとある。日本語を勉強している人もいる。なにより、私が日本人であることに興味をもつ人が多いんですよ。過去に出会った台湾の老婆が「私は昔、日本人だった」と言っていました。懐かしい思い出として好意的に昔話をしてくれましたが、考えさせられるものがありました。

 実際台湾は、1895年に清国から割譲され、1945年に太平洋戦争に負けるまで日本が統治していた歴史があります。とはいえ、敗戦から約70年が経過して、日本統治時代だけが日本との繋がりなのかという疑問もありました。そこで日本が統治していたアジア地域をもう一度調べなおしてまとめたのが『アジア親日の履歴書』です。取材の過程でインドネシアやマレーシアでは、日本食チェーンの激増やアイドル、AV、アニメ、漫画といった日本カルチャーが「あって当たり前のもの」として浸透していることや日本への関心がいかに高まっているのかがみてとれました。

 反対にベトナム・カンボジア・ラオスは特に親日という感じがしないというのが私の印象です。ただし、日本に興味や関心が特にないということはプラスの面もあります。関心が低い国では、日本の文化がそれほど浸透していないがゆえに新鮮な発見も多いのです

――具体的に新鮮な発見をしたエピソードはありますか?

丸山:バックパッカーとして旅をしていた10年以上前にインドを訪れたときのことです。もともと拙著の分類でインドは日本に関心がある国ではあります。ところが、私が訪れたのはインド中部で日本人なんてほとんど来たことがないような山村でした。そんな場所で日本料理屋を開店しようとするインド人に出会ったんです。

 まだインターネットなんて普及していない時代だったので当然といえば当然ですが、その店の料理は日本食からは程遠いシロモノだった。そこで「こうやって作るんだよ」と、作り方やレシピを教えてあげたんです。そしたら店主にすごく喜ばれて、「この味を再現するために日本から食材を輸入するんだ」とリストを見せられたんですけど、レトルト食品ばかりで細かく教えた意味がない(笑)。いずれにせよ、日本人がそんなに来るわけでもないのに手探りながらも日本の料理を知ろうとする人に出会えたことは新鮮だったし、心が温まったのを覚えています。

――今はパッケージツアーやバックパックなど色々な旅行の形がありますが、どのタイプが現地を一番体感できますか?

丸山:どんな形でもいいですが、添乗員が最初から最後までつきっきりで案内してくれるようなツアーだと難しいですよね。彼らはトラブルを起こさないのが仕事ですから、予期せぬ出会いに遭遇みたいなのは可能性が低いですね。ですから、フリーで好きに動けるような旅の方が色々体験できます。

 私なりに現地の人と交流したといえる基準を設定しているので、参考までにお伝えしておきます。

 それは「現地の人と現地のお酒を飲んで現地のタバコを吸いながら猥談すること」です。

 飲み屋に行って現地の人たちの会話に軽く飛びこんでみたりします。酒が入れば男達がシモネタで盛り上がるのは万国共通ですから。とは言っても、そういう行動は自分の身の丈に合ったものを選んだ方がいいです。日本で普段やらないようなことにチャレンジするのはあまりおすすめしません。安全の基準がわからないと危ない目に遭う確率も上がってしまいますから。女の子が普段行き慣れないバーに行って怪しい現地の人と話すのはどう考えても危険じゃないですか。日本ではオシャレなカフェに行くのであれば、海外でもそういう場所を選んで現地のオシャレな女の子たちと交流するといいと思います。

――『アジア 親日の履歴書』ではあえて深く言及していませんでしたが、中国や韓国といった反日感情の強い特定アジア(中国、韓国、北朝鮮を指す)に旅行してみるのはどうですか?

北朝鮮

あえて勧めるという北朝鮮。アントニオ猪木プロレス観戦ツアーは8月15日まで申し込み可能!

丸山:私個人の意見としては、観光客が減少している今だからこそ行ってみてほしいです。できることなら夏旅では親日アジアの国に行って、次の冬旅で特定アジアに行ってみるとか。そうやって比較するのも面白いですね。反日、反中、反韓……個人のイデオロギーとしては何でもいいと思うんですが、ネット世論の盛り上がりなんかを見ていると、自分が被害を受けていないのにあたかも当事者であるかのように発言する。

 多くの人の中には自分が日本人であることを理由に罵倒されたなどの当事者としての「反日体験」はないはずです。これでは他人のフンドシで相撲とっているようにしか思えないんですね。とはいえ、報道されているように国家間のトラブルや歴史観のねじれ、領土問題などのトラブルはありますよ。それは間違いない事実。問題が存在している以上、避けて通ることはできない。それならば、まずは常識を捨てて自分なりの物差しではかってみるのがいいんじゃないですかね。特にアジアは距離的に近いのだから、自分の足で歩くことは多くの人にとって難しいことではないはずです。

 ただし、戦争どうこうと歴史を語る前に、各国の近現代史ぐらいは知っておくべきです。すぐに既存の歴史は「間違っている」と批判するのではなく、現在ではどんな歴史として教えられているのかぐらいは押さえておくべきなんです。仮に覚えていた知識が現地で知り得たことと違ったら、それは本人の誤認か発見です。何を発見するにせよ、この夏、まず実際に現地に行って体感してほしいですね。

<取材・文 成瀬えり子>

アジア親日の履歴書

アジアを愛する著者が日本とアジア15カ国の交流の歴史を徹底リサーチ

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