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前代未聞!アップアップガールズ(仮)富士山ライブの舞台裏

 8月7日、とうとうこの日がやってきた。常在戦場をモットーとするアイドル・アップアップガールズ(仮)が「富士山 山頂頂上決戦(仮)」なるイベントを決行したのだ。これはメンバーが自力で富士山に登り、なおかつ山頂でライブを行うという無謀な企画。そんなことに挑戦したグループなど、もちろん過去に例がない。

アップアップガール(仮)

標高2305mの5合目から出発。てっぺん獲るどー!

「もともと私たちは“上へ! 上へ!”という意味を込め、アップアップガールズ(仮)(以下、アプガ)と名づけられたんです。6月1日の中野サンプラザ公演でサプライズ発表されたときは驚きましたけど、何でも挑戦するのがアプガ流。日本のてっぺんで『全力! Pump Up!!』を全力披露します。そして、生きて帰ってきます!」(仙石みなみ)

 無告知だけに、現地にファンは一切いない。ごく一部のマスコミだけを招待するというのも、極めて特殊な取材形式だ。プロレスファンなら、アントニオ猪木とマサ斎藤による巌流島の戦い(1987年)を思い出すかもしれない。こうなった経緯を、事務所スタッフは次のように説明する。

「企画の話自体は今年の1月くらいから出ていたんです。ただ、そこから環境庁、山梨県、静岡県、浅間大社といった関係者に許可を取るのに時間がかかり、構想半年以上の巨大プロジェクトになってしまった。話し合いを続ける中で出た結論は、とにかく安全面への配慮が最重要だということ。ファンの方が殺到して事故でも起こった日には、目も当てられませんからね。万が一でも“もしものこと”が起きないよう、今回はノーピープル無告知ライブという形を取らせていただきました」

 富士山は自然公園としての特別保護地区であり、昨年は世界遺産にも登録された。なかには「なぜ歌わなくちゃいけないんだ。5合目じゃダメなのか?」といった反対意見もあったという。しかし、スタッフは粘り腰で交渉。今回の企画実現にたどり着いた。そのためメンバーはもちろんのこと、撮影スタッフに対しても、自然環境保護を含めた登山マナーを徹底させていたのが印象的だった。

 さて、一同は車で富士山吉田口5合目(標高2305m)に到着。1時間ほど休憩をとり、高地順応をしていく。腰痛にならないリュックの背負い方、高山病になりにくい水分の摂り方、横に広がらないで2列で歩くこと……登山ガイド・池川利雄氏から注意事項を聞くメンバーは、真剣そのものだ。

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登山ガイドから靴紐の結び方などを教わる。表情は真剣そのもの

「本当に登れるのか? そして、空気が薄い山頂で歌って踊ることができるのか? おもいっきり不安だけど、楽しみにしている自分も同時にいます」(古川小夏)

「元気モリモリ! 自信モリモリ! ……と言いたいところですが、内心は恐怖心でいっぱい(笑)。私って高所恐怖症だし、気圧の変化で頭痛がしてくるんですよ。高山病が心配ですね」(森咲樹)

 不安と期待が入り混じったような表情のメンバーたち。一方、新井愛瞳は先日のTIF(東京アイドルフェスティバル=国内最大級のアイドル合同イベント)でファンから渡されたというタスキを見せてくれた。そこにはファンからの熱い檄に加え、吉川友や東京女子流からのメッセージも書かれている。なかには、なんと中国在住のリンリン(元モーニング娘。)からのメッセージも! 「このタスキをかけることで、ファンの方と一緒に登っている気持ちになる。それだけに絶対に負けるわけにはいかない!」と不退転の覚悟で口を結んでいた。

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 午後4時、ゴング。7人はゆっくり歩き始めた。普段通り、「(仮)」と大きく記された7色のド派手なTシャツ姿だ。登山客の中でもひときわ目を引く恰好だけに、「応援するからねー!」などと頻繁に声をかけられる。また、ときには「お前、マジでアップアップガールズ知らないの? それ、ヤバいって。普通に有名人だし。タモリとか和田アキ子と同じで」などとヒソヒソ声が聞こえてくることも。断るまでもないが、アプガはそこまでの有名人ではない。

 途中、休憩で寄った山小屋では奇跡の再会劇が待っていた。静岡県在住の森咲樹が、偶然、山小屋に勤務している高校時代の同級生と出会ったのだ。3年ぶりに会った旧友から「テレビで観たよ。頑張ってね」と声をかけられ、こくりと頷く森咲樹。標高2800m地点で、2人は束の間のプチ同窓会を楽しんだのだった。

◆スタッフの大人たちを後目に元気な7人

 それにしても、メンバーは元気いっぱいだ。道中では連想ゲーム、なぞなぞ大会、J-POPしりとりなどをしながら陽気に歩を進めていく。6合目を超えると植物も消え、ゴツゴツした岩場が続くが、7人の足取りは一向に衰えない。驚異的なスタミナである。

「登山経験があるメンバーは少ないんですけど、今回の富士山決戦に備え、足立先生のもとでトレーニングを重ねてきました。“ReBNA呼吸マスク”っていう特殊なマスクがあって、それをつけながら筋トレすると酸素を吸収する力が増えるんですよ。口から息が吸えくなっているから、腹式呼吸も自然に身につきますし」(古川小夏)

 古川が口にした「足立先生」とは、フィジカルトレーナーの足立光氏(ボディプラント六本木代表)を指す。足立氏は“レインメイカー”オカダ・カズチカ選手(新日本プロレス)の肉体改造を成功させたことで知られ、過去にはPRIDEやDREAMといった格闘技大会の公式ジャッジとしても活躍。ほかにも数多くのアスリートや芸能人が師事を仰ぐ、肉体作りのエキスパートなのだ。

 アグレッシブなライブを身上とするアプガもまた、足立氏のもとで本格的な肉体改造に取り組んでいる最中。その成果はキレのあるダンスやライブ後半でも減速しない体力づくりに現れており、7人はますます「闘う集団」としての色合いを深めている。今回の登山においても、「足立効果」は遺憾なく発揮されていた。

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 一方、だらしないのは映像チーム、カメラマン、事務所スタッフ、記者といった大人たちだ。「予想外に機材が重いですな」「昨夜は編集作業が長引いたので寝不足」「持病のヘルニアが……」などと泣き言、言い訳、ぼやき節のオンパレード。先行するメンバーたちが、休憩箇所ごとにバテた大人連中を待つという展開が続く。

 メンバーが7合目上部の宿(標高3000m)に着いたのは、予定よりだいぶ遅れた午後8時20分。楽しみにしていたハンバーグ定食に舌鼓を打ち、満天下の夜空に明日のライブ成功を誓う。東京よりも星が近い。手を伸ばしたら掴めそうな気配である。

 思えば、これまでアプガの面々は決して順風満帆な道のりを歩んできたとはいえなかった。それどころか研修機関をクビになり、一時は芸能活動を諦めざるをえなかった落ちこぼれ集団なのだ。しかし7人は下剋上の精神を胸に刻み、なんとかここまで「アップアップ」してきた。もう引き返すことはできない。頂上を目指すしかない。覚悟の量が、ほかのアイドルとは最初から違う。

「予想していたほどは、つらくはなかったです。正直言うと、普段のライブのほうがつらいくらい。たとえるなら、『アッパーカット』を2回連続でパフォーマンスしたくらいの疲労度かな」(関根梓)

まったく疲れを見せないメンバーたち。休憩箇所では、疲れ切った大人たちを待つ時間帯が続く

「そうだね。空気が薄いということで高山病が不安だったけど、考えてみたら普段やっているライブハウスのステージのほうが空気は薄いから。無意識に高山病対策ができていたのかも」(佐藤綾乃)

 参考までに『アッパーカット』のハードさは、アプガ楽曲の中では中の上くらいに位置する。いずれにせよ初日を無事に終えたメンバーは、確実に手応えを感じている模様。翌日に備え、早めに就寝したのだった。

※果たしてライブは成功するのか?【後編】へ続く
http://nikkan-spa.jp/695701


<取材・文・撮影/小野田 衛>




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