皇居ランニングの罠…排ガス、紫外線、反時計回りルール
健康に関する情報が氾濫している昨今、どれが正しく、どれが怪しいかを一般人が見分けるのは難しい。特定の企業・団体の利権や意向が複雑に絡み、根拠の乏しい健康の常識も世の中には氾濫している!
◆排ガス、紫外線、ランニング障害……。皇居ランニングの罠
今や空前のランニングブーム。皇居周辺では連日、大勢のランナーが走っている。だが、スポーツ教育学が専門の柿山哲治氏は、「皇居周辺でのランニングは推奨できない」と警鐘を鳴らす。
「都市部の場合、ランナーが車の排ガスにさらされるからです。特に皇居を周回する内堀通りは、一日中交通量の多い道路。走っている間ずっと大量の排ガスを吸い続けることになり、身体にいいわけがありません。また紫外線のリスクもあり、皇居周辺のコースにはこれを遮るものが少ないです。当然、肌にはよくない」
走り慣れて持久力がついてくると、ほかのランナーと競うように走ってしまいがち。皇居周辺でもそんな光景をよく目にするが……。
「スピードの上げすぎは体への負担がかかり、活性酸素が大量に発生します。活性酸素はいろんな細胞を傷つけて最終的に老化を早めることになますし、さまざまな病気の原因にもなります。先に挙げた排ガスや紫外線は、活性酸素を増やす大きな要因のひとつ」
⇒【資料】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=720701
このほか、皇居周回コースは反時計回りに走るのがルールだが、常に一定方向を走ると骨や関節、筋にランニング障害を引き起こしやすくなるという。
「道路は中央が盛り上がり、路肩側は傾いているので、左右の足への負担が異なります。ランニング障害を予防するうえで、一般ランナーの走行距離の上限は1か月200km。しかし、皇居周回コースの場合、上限に達してなくてもランニング障害を起こすリスクが高くなる可能性が考えられます」
“ランナーの聖地”は、実際にはランニングに適さない場所だった。
【柿山哲治氏】
体育科学博士。福岡大学スポーツ科学部教授。専門はスポーツ教育学。著書に『学校保健の世界』(大澤清二ほか共著/杏林書院)など
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