不況の今、高額すぎる食品や日用品が大人気な理由
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一方、消費者の要望に応えるかたちで高額商品を投入した企業も存在する。コンビーフの定番「ノザキのコンビーフ」の販売元「川商フーズ」では、“山形県産牛ノザキのコンビーフ”を販売。300円前後の通常品と量は変わらないが、お値段は916円とかなりの高級品。1000円のコンビーフというと多少抵抗があるかもしれないが、缶を開けると見るからに肉の繊維が太く大きい。担当者曰く「繊維状のほぐし肉を粗めに加工。機械では詰められないのですべて手作業。40代以上の往年のファンの『高くてもよりおいしいものを』という声で開発に至りました」(食品流通部担当者)という力の入れようだ。
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こうした高級志向の波は、食品だけでなく日用品にもおよんでいる。
「鼻セレブ」や「クリネックス」など1箱数百円する高級志向のティッシュが人気を博すなか、さらなる高級ティッシュが登場。その名も「十二単ティッシュ」。名前の通り、十二単をイメージした、12色のカラーティッシュだが、なんと、お値段は1万円である。
また、マツコ・デラックスが明石家さんまへの贈り物に選び、ギャル曽根も日々愛用するのが、望月製紙の高級トイレットペーパー。なかでも、同社の「羽美翔」は、3ロールで5400円の超高級品だが、こちらも人気を博している。
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◆不況の今、高価すぎる食べ物や日用品が続々登場する理由
巷で人気を集めるこれらの高値すぎる商品について、マーケティングライターの牛窪恵氏はこう分析する。
「消費税増税後、消費者の中では“超メリハリ消費”の傾向が強まりつつあります。日用品は特売や一掃セールなどでとことんまで切り詰めますが、友人や家族へのプレゼントなど“ハレの日”には贅沢をする。極端な二極化です。また、自分へのご褒美としてちょっと良いものを食べたり、購入したりするプチ贅沢も増えています」
普段切り詰めた生活を強いられている分、たまの贅沢はストレス解消にもなる。
「贅沢といっても、ポイントは『頑張ればなんとか手が届くレベル』。不況や増税で消費者も節約疲れが溜まっているので、プチ贅沢は現代人の“息抜き”でもあるんですよ。企業側もそのニーズを読んでいるので、超高級品ではなく、普段食べているもの、使っているものよりも数百円~数千円高めの商品を打ち出すなど、“プチ贅沢志向”が浸透しつつあるのです」
さらに昨今の生涯未婚率の上昇も深く関係しているという。
「’19年以降、日本で唯一増加する家族形態は“ひとり世帯”だけです。少人数用に1袋中の個数や量は減らすべき、でもそれだけだと売り上げは下がる。そこで生き残りの術となるのが『付加価値を付けて高級路線にし、利益率を維持する』ということ。今後さらにジャンルを問わず、“プチ贅沢志向”は広がっていくはずです」
【牛窪 恵氏】
マーケティングライター、世代・トレンド評論家。マーケティング会社インフィニティ代表。近著に『「バブル女」という日本の資産』(世界文化社)
取材・文/青山由佳 中村未来(清談社) 藤村はるな
9月17日、人気コーヒーチェーン店の「スターバックスコーヒー」から、同店史上最高値のコーヒーが期間限定で登場した。そのお値段なんと一杯約2000円(※1998円税込・一部店舗では1782円)。スタンダードなドリップコーヒーが320円だから、通常の約6倍ということになる。昨今、さまざまな企業が打ち出している『高級ライン』ブームに乗った形なのか? スターバックス本社に直接聞いてみると、どうやらそういうわけではないという。
「そもそも、高価格の商品を投入するのが目的ではないんです。弊社では、コーヒーにこだわりのあるお客様を対象にした『スターバックスリザーブ』というプレミアムラインのコーヒーを展開しております。今回登場した『パナマ アウロマール ゲイシャ』は特に希少価値が高い品種。限られた店舗で、なおかつ数量限定でしかお出しできないメニューなんです」(スターバックス広報)とのこと。
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