「留学経験者はポンコツばかり」グローバル人材採用担当の嘆き
現在、国際舞台で活躍できるグローバル人材が求め続けられている。しかし、新卒一括採用が根付いている日本では、留学により就職機会を損失することが懸念されている。そのため、他のアジア諸国と比べて、海外留学者数は2013年より減少傾向にあるという。
こうした中、政府では“日本再興戦略-JAPAN is Back-”内で2020年までに日本人留学生を6万人(2010年)から12万人へ倍増させるという目標値を掲げた。だが、果たして海外で勉強しただけでグローバル人材と安易に言えるのだろうか?
「私の職場は海外からの問い合わせが多いので、英語は不可欠な要素です。語学能力を活かせる場として、入社を希望してくる留学経験者がとても多い。ですが、語学能力以前の問題を持つ“自称グローバル人材”がほとんど。ま、ポンコツばかりですね」
そう語るのは、某旅行代理店でグローバル人材の採用を担当するIさん(41歳・男性)。“自称グローバル人材”たちの語学能力以前の問題とは何か、話を聞いてみた。
●プライドの高さだけはメジャーリーガーなみ
Iさんの会社では、面接後にその場で合否通知をする。「不採用通知」を言い渡された“自称グローバル人材”たちは同じような捨て台詞を吐くのだと言う。
「一番多いのは『あなたの企業は本当に見る目が無い』、その次は『日本企業はどこも一緒だ』って言うんですけどね。社会人経験が無くて、男性は肩より長いロン毛、女性は面接なのに合コン用みたいなド派手メイクじゃ、どこの国でも雇いませんよ」
“T(time)・P(Place)・O(Occasion)”という和製英語は“自称グローバル人材”には通じないのかもしれない。
●TOEIC高得点者の呆れたビジネス会話
どんな企業も英語力の指標とするTOEICのスコア。「実はこのスコアは何回でも挑戦できるテストのため、全く参考になりません」とIさんは語る。
「今の20代の人たちはテスト対策してますからね、先日もスコア800以上の人を採用したら、外国人のお客の会話する際に『fuck’in~』 とか表現を多用するんです。なので、すぐ解雇に。これって日本で言ったら『超~』みたいな表現、お客相手に使いませんよね……。」
日常会話とビジネス会話は英語でも全く違う。このタイプの“自称グローバル人材”は日本語もおろそかだとか……。ここまでくると語学力の問題では無くて“育ち”の問題かも。
●魔の“ハロウィン時期”
年々、日本でも注目され始め、賑わいを見せるハロウィン。去年も渋谷や六本木では仮装した人たちが大勢いて、驚かれた人も多いのでは?しかし、Iさんの会社では驚愕の実態が……。
「最近ではハロウィンを日本で過ごしたい外国人のお客がいるのですが、10月31日に有休をとる人が多い、そして11月1日は急病で休む(二日酔いなのはバレバレ……)。もっと酷い例だと、二週間前から仮装している痛い人も。一昨年よりも去年の方がグレードアップされてましたね。来年はどうなるものか、正直不安です」
本来、ハロウィンとは秋の収穫を祝い悪霊を追い出すための行事。去年の渋谷では機動隊が出動する事件にまで発展した。その背景にはお祭り好きの日本人という点もあるが、“自称グローバル人材”たちと一緒に間違った“文化輸入”をしてしまったのでは……。
「海外で勉強したからと言って“グローバル人材”が育つ訳ではありません」とIさんは断言する。
「僕は20代前半までバックパッカーでした。が、どの国に行っても、日本人は日本人同士で固まるんです。そして、たった一週間先にその国にいただけで、先輩面するんですよ。留学先の米国も一緒でしたけどね。おかげで外国人たちから同じ日本人と思われるのが嫌でしたね」
海外では日本人同士で傷の舐め合い、国内では語学を活かして“ドヤ顔”。こんな厚顔無恥な“自称グローバル人材”が日本を席巻する日も近いのかも知れない。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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