「元プロ野球選手」の再就職事情。コーチや解説者になれるのはわずか1割
◆プロ野球に関われるのは1割程度。高齢選手のセカンドキャリアの難しさ
東京五輪の開催を5年半後に控えた今、日本社会には国際化の波が押し寄せており、価値観の多様化は進む一方だ。そんななかで「元プロ野球選手」の再就職事情はなかなか変化が見られない。引退後もコーチや解説者として野球界に直接関われるOBは、毎年わずか1割程度。保険のセールスマン、車や不動産の営業職、そして家業を継ぐことが、「元プロ」のセカンドキャリアの王道と呼ばれていたが、35歳以上となるとすんなりといかないのが実情だ。
対照的なのはメジャーリーガーのセカンドキャリアだ。選手たちの選択肢は実にバラエティに富む。今年度の野球殿堂入りを果たした通算303勝の長身左腕ランディ・ジョンソンは、48歳で引退すると写真家に転身した。現役時代から全米中を移動するメジャーリーガーの特権を生かして遠征先でさまざまな写真を撮り続けていたが、引退後はイラク、クウェート、アフガニスタンと3度も戦地に赴くなど、報道写真を撮って大手メディアに納品しているという。
今なお破られることのない59イニング連続無失点記録を持つオーレル・ハーシュハイザー(56歳)は、解説者を務める傍ら、プロのギャンブラーとしてラスベガスで暮らす。当初はポーカーのインストラクターを目指していたが、その腕前はめきめきと上達。今やポーカーの達人として大手エージェントと契約するまでになってしまった。
新品のユニフォームに身を包んだ選手たちが、各地で一斉に始動するキャンプ初日の2月1日。野球界ではこの日を「お正月」と表現する。ブレイク中の若手や雪辱に燃える中堅、最後のひと花を狙うベテラン、そして期待に胸をふくらませる18歳の高卒ルーキー。連日流れるキャンプ情報は、列島に球春の到来を告げる風物詩だ。
そんな晴れの日の陰で人知れず、新たな人生を歩み始める「元選手」たちもいる。キャリア17年の人気ベテラン選手、日本代表の重圧と対峙した男、メジャーリーグの夢舞台で活躍した男……。彼らがスポットライトを浴びたことは一度や二度ではない。選手の平均年齢が32歳、平均引退年齢が29歳と言われるプロ野球界では高齢に属する彼らのリスタートはいかなるものになるのか?
<’14年で自由契約となった主な選手と去就>
中村紀洋(41歳)前DeNA→未定
建山義紀(39歳)前阪神→野球解説者
平井正史(39歳)前オリックス→同2軍投手コーチ
藤井秀悟(37歳)前DeNA→巨人打撃投手
江尻慎太郎(37歳)前ソフトバンク→未定
石井義人(36歳)前巨人→BCリーグ武蔵コーチ
岩村明憲(36歳)前ヤクルト→BCリーグ福島監督兼選手
小林宏之(36歳)前西武→BCリーグ武蔵コーチ
高橋信二(36歳)前オリックス→BCリーグ信濃コーチ
※1/31現在BCリーグは独立リーグ
― 戦力外となった[高齢プロ野球選手]の再就職先【1】 ―
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