徹底比較[ユニクロ VS 無印良品]スニーカー、履くならこっち!
―[メンズファッションバイヤーMB]―
メンズファッションバイヤー&ファッションブロガーのMBです。洋服の買いつけという本業の傍ら、ブログやメルマガで「オシャレのルール」について発信していたところ、こちらで執筆させていただくことになりました。連載第22回目をよろしくお願いします。
▼ユニクロのスニーカー徹底検証!
「ユニクロ、シューズ販売に再参入」――そんなニュースが4月22日に飛び込んできました。ユニクロは2009年に靴事業に参入しレディースを中心に幅広く展開、一時期はブーツもあったくらい豊富なラインナップでした。しかし、思うように業績が伸びず、2011年に撤退。「服に専念する」として靴の生産からは遠ざかっていました。そして、撤退から4年。「もう一度やってみよう」と失敗からの再チャレンジとなったのです。その理由は、「空前のスニーカーブーム」にあるでしょう。去年から続くムーブメントは今年になってさらに活性化し、NIKEやadidasなどの靴メーカーはもちろん、ABCマートなどの靴専業小売なども軒並み絶好調です。前年比130%超えなんて店舗もあるくらい活況で、街を歩けば男女問わずスニーカーを履いているため、「ウチももう一度やってみよう!」と重い腰をあげたのも納得です。
そして4月27日、ついに全国のユニクロでスニーカーが発売されました。「紐あり」と「紐なし」の二種類で、とくにプッシュしているのはトレンドでもある「紐なし」のスリッポンモデル。今回はこのユニクロの「再挑戦」を細部にわたって検証してみたいと思います。
▼選んだのは人気のスリッポンタイプ
ユニクロが撤退した「靴」ですが、リベンジとして選んだのは「スリッポン」モデル。お値段は2990円(+税)。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=843377
VANSなどでよく見かけるこのまっさらなシンプルスニーカーは去年からの大きなトレンドの一つ。「ノームコア」(普通っぽい服をキレイに着こなすスタイル)なんて流行も追い風となって、スリッポンは今年も大人気なのですが、すでにどこのブランドもリリースしているため、後追い感は否めません。無印良品もユニクロに先駆けてスリッポンを発売していて、こちらは税込みで2980円。ユニクロより249円安い。いやいや、「品質のユニクロをナメるな」「無印よりも後追いでも、多少高くても、断然ユニクロのほうがいいに決まっている!」と声高に主張するユニクロファンもいるでしょう。実際に比べてみました。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=843378
見た目は同じ様なスリッポンですが、洋服や小物は細部にこそ重要なポイントがあります。仕様や素材感まで細かく検証してみたところ……諸々異なる点が出てきたのです。
▼30代以上にはキツいフォルム
まず結論から言うと、「見た目でイケてる」のは無印良品です。ユニクロの大きな欠点は、「トウ(つま先)が丸くボリュームがある」「ソール(底)が極厚である」という2点です。基本的にスニーカーはカジュアルなので、子供っぽいアイテムです。30代以上の男性なら理解いただけると思いますが、いい大人が無為にスニーカーを履くと「とっちゃん坊や」感が出ます。その原因は、まず革靴に目が慣れている点にあります。スーツで着用する革靴は基本的に甲が低く、形が細く、底が薄い。一方、スニーカーは甲が高く、形が太く、底が厚い。つまり、基本的にボテッとしていて、野暮ったく、大人っぽさ、品のよさからは程遠いアイテムなのです。「そのカジュアル感と子供っぽさこそがスニーカーの魅力じゃないか」と言われればそのとおりなのですが、10~20代ならまだしも30代以上の男性に、「子供っぽいアイテムを大人っぽく履きこなせ!」というのはなかなかハードルが高いもの。そこへいくと無印のスニーカーは気配りが素晴らしく、実にニーズをよくわかっていらっしゃる。
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比べてみると一目瞭然なのですが、無印のスニーカーは一見子供っぽいカジュアルなデザインながら、形は革靴ライクでシャープです。薄いソール(靴底)、細身のトウ(つま先)は革靴を連想させます。実際に着用して比べてみるとよくわかりますが、確実に無印のほうが、大人っぽく、スッキリとキレイに見えます。つまり、無印は販売しているなかで消費者が何を求め、どういった形ならばキレイに見せられるのか、改良を重ねた経験値が圧倒的に高い一方、残念ながら後追いのユニクロは経験値がまだまだ低いと言えるのです。
▼品質はさすがのユニクロ、3229円とは思えない!
しかし、そんなユニクロのスニーカーですが、悪いところばかりではありません。「見た目」ではなく「品質」でいえば無印良品に勝ります。スニーカーを触ればすぐにわかりますが、ユニクロが使っている素材は無印よりもやや肉厚。また、スニーカーがもっとも傷みやすい「履き口」の部分にもその差は現れています。
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無印はとくに何の仕上げもしていませんが、ユニクロは補強用にレザーを貼り、何度脱ぎ履きしても傷みにくい仕様にしてあるのです。このあたりの品質はさすがと言えるでしょう。この仕様を2990円(+税)で実現してしまうことには、正直、驚きです。
また、歩き心地もユニクロに軍配が上がります。ユニクロの靴は脱着式のインソールを使用し、クッション性が高い肉厚のウレタン素材を採用しています。これはNIKEなどのスポーツスニーカーなどにも使用されるもので、この価格帯の簡素な靴ではありえません。ちなみに無印ではインソールは別売りで1000円。完全にユニクロに負けています。
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=843384
▼ではどちらを選ぶべきか?
靴選びは難しいもので、上述のとおり、細いほうがキレイにカッコよく見えるのですが、「俺の足は入らない!」「キツすぎる!」という人が出てくるのもまた事実です。実際、ユニクロはターゲット層を幅広く見た結果、万人に向いたこのようなフォルムに落ち着いたのでしょう。一方の無印良品は、「おしゃれユーザーや30代以上の革靴に慣れた大人」をターゲットにしているように見受けられます。それらを鑑みつつ、バッサリと断言するならば……履きやすさ歩き心地を重視するなら断然ユニクロ! カッコよさ、30代以上の男性が履くなら無印良品!と結論づけていいと思います。
私のサイトKnowerMagやメルマガでは「ファストファッション・マストバイ」と題して、ユニクロや無印良品でもオシャレに見せる方法を、感覚ではなく論理立てて語っているので、気になった方はぜひこちらもご一読ください。 <文/MB>ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 <実践編>』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)『MBの偏愛ブランド図鑑』 今着るべきブランド60の歴史や特色を、自身が愛用する品とともに徹底紹介 |
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