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「ドローン」と「ラジコンヘリ」ってなにが違うの?

首相官邸に落下して以降、皮肉にも世の中の関心を集めるようになったドローン。テロや犯罪への懸念が取り沙汰されているが、その形状は「ラジコンヘリ」に似ている。「どちらも同じでは?」と疑問に思った人は少なくないだろう。 ◆「ドローン」と「ラジコンヘリ」の違いとは? ドローン「ドローン」の名が日本で知られるようになったきっかけは、2013年にAmazonがドローンによる配達計画を発表したことが大きい。IT・テクノロジーの分野で期待が高まる矢先、官邸や善光寺で度重なる事件が起こった。  ドローンとは、コンピュータ制御によって自律飛行する無人航空機(UAV)のこと。もともと軍事目的で開発されたが、近年では商業や民間利用の領域が広がっている。ローター(回転翼)を複数搭載したマルチコプター型のものが主流で、空撮などを楽しむホビー用としても一般向けに販売されているのが現状だ。  もちろん現在も軍事で利用されており、アメリカ軍は最新鋭の無人偵察機を保持し、イラク戦争でも戦闘で使われてきた。商業用としてはAmazon、Google、ドミノピザなど大手各社が商品配達のための運用を発表している。  ドローンの定義を「無人航空機」とした場合、プロポと呼ばれる送信機を使って操縦するラジコンヘリも、広義では無人航空機の一種と考えられるだろう。実際に「ラジコンヘリ」は、娯楽のための玩具だけでなく、農薬散布や空撮といった産業・軍事用としても利用されている。  しかし、両者の決定的な違いは「自律的に」飛行できるかどうかということだ。「ラジコンヘリ」はラジオコントロール、つまり無線操縦できるヘリコプターのことを指す。人間の手によって操縦して飛行する「ラジコンヘリ」に対し、GPSなどを搭載して自律飛行することができるのが「ドローン」だ。  余談ではあるが、私たちの生活に欠かせない「サランラップ」と「ティッシュペーパー」も、当初は軍事目的で開発されたものである。ラップフィルムは銃や弾薬を湿気から守るために開発され、ティッシュペーパーも兵士のガスマスク用フィルターや脱脂綿の代わりに使用されていた歴史がある。  軍事目的で開発され、我々の日常に恩恵を与えるようになったものは意外と多い。ドローンも危険性だけを取り上げ、事件が起こるとすぐに「規制」するという短絡的な議論ではなく、将来の可能性を考慮した建設的な議論が必要だろう。 <取材・文/北村篤裕>
ドローンの衝撃

イノベーションか、それとも凶器か?

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