みうらじゅん&リリー・フランキー「仕事って、人生の本業じゃないんだよ」
―[みうらじゅん&リリー・フランキー]―
長引く不況に、鬱々としている20~30代のサラリーマンも多いはず。このまま年末に向けて、さらには2012年を我々はどう生き抜けばいいのか? SPA!の巻頭グラビア「グラビアン魂」の著者であるみうらじゅん氏とリリー・フランキー氏が緊急提言を寄せた。
←【前編】「“やりがい”なんて考えないほうがいい」
https://nikkan-spa.jp/91986
――20~30代のサラリーマンに生き方指南を!
みうら :そもそも仕事って、人生の本業じゃないんだよね。本業は生きることそのものですから? だから、働くなんていうのは、あくまで生きる手段なんだよ。
リリー :仕事第一っていうのが日本人の美徳になっているけど、そもそもその教育が変だったわけで、その成れの果てが現在の状況なわけじゃないですか。自分を滅して仕事のために生きろって、そんなのありえないけど、一時期は信じてやってましたよね。
みうら :滅私ね。そんなの虚しいよねぇ。
リリー :だから、みんなうつになったり自殺者が増えたりする。今は不景気だけど、逆にビジネスチャンスだと言っている人もいっぱいいるじゃないですか。それって本当だと思う。それで何かが変わっていく風景を見て、オレはどこかですごく「いい気味だ」と思うんですよ。何となく生きていた時代は終わってくれたほうが、オレはワクワクする。
本当に困っている人もたくさんいるけど、そのなかにも真面目な人とそうじゃない人がいるんですよ。オレも今まで、「何かしたい」って言いながら何もしなかったヤツと、一生懸命頑張ってきたけど何もならなかったヤツと二種類見てきましたから。
みうら :あと単純に、オレはあまり人の意見を聞いてこなかっただけかもしれない(笑)。これまでも、自信じゃなくて「好きだから」だけでやってきたんですよね。大人のアドバイスをちゃんと聞く耳があれば、逆にもっと不安になってたよ。
リリー :実際、自分の好きなことをやり続けている人って、結構みんな食えてるんですよ。ただ、若い時のほうがバランス感覚がいいというか、大人に毒されているから、いろんな人を見たり会ったりして勉強しようとかって言いますね。でも、そんなことしたらバカになりますよ。だって、ほとんどの大人はバカなんだから。
みうら :たぶん好きだからやるということに対して、ものすごく疑問があるんだろうな。好きで好きでしょうがなくて、立場とか金とか関係なくやってるヤツって、それこそ幸せなんだよね。それを、妙にサラリーマン的に考えて、儲けなきゃって考えているところが世間に毒されてる気がするけどね。
オレらはたまたま、表現をする仕事だったから自分があるように見えてるけど、幻想ですよ。でも、そんなオレが仕事をもらっている限り大丈夫ですよ、日本はまだまだ(笑)。
【参考書籍】
『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』
みうらじゅん、リリー・フランキー著 本体1200円+税
みうら&リリー両氏が、人生、仕事、そして生と死について1年間にわたり真剣に語りつくした、両人いわく「最初で最後の」珠玉の対談集! ハッシュタグ