生みの親が語る「サードウェーブ男子の定義」――メガネ、オーガニック、上から目線
今、巷で称される「サードウェーブ系」男子。この言葉の生みの親といわれるのが、漫画家・エッセイストの辛酸なめ子氏だ。
「昨年頃から、カフェブームの影響か、恵比寿や代官山などのカフェ通いをするオシャレな2人連れの男子が目立つなぁと思ってたんです。そして、今年の春に清澄白河のブルーボトルに行ったら、行列に並びながら、コーヒーのうんちくを傾ける小洒落た恰好をしている男性たちがあまりに多くて驚きました。そこで、こうしたオシャレで、一杯一杯丁寧に入れたコーヒーが好きな男性やそうした店で働く店員さんのことを『サードウェーブ系男子』と名付けました」
また、その外見も単なるオシャレでなく、サードウェーブならではの特徴があると、辛酸氏は続ける。
「彼らは西海岸カルチャーに憧れているので、キッチリした服装よりは、計算した上で、ラフでゆるっとした恰好をする人が多い。あと、アップル製品所持率やニット帽、ヒゲ、メガネの着用率も高いですね」
もうひとつ彼らを特徴づけるのが、生活の品質へのこだわり。
「例えば、シャンプーひとつとっても、ドラッグストアに売っている大量生産品には手を出さず、『ラウリル酸』などが入ってないオーガニックなシャンプーを取り寄せるし、食べ物も、ファストフードは食べず、高くてもオーガニックなど体に良いものを選びます。また、カルチャーにも造詣が深くて、アートや建築などに関心が高い人が多いですね」
ライフスタイルだけをとれば、理想的にも見えるが、彼らに顕著な特徴は、なにかと上から目線になりがちな点だという。
「彼らは、自分が俗世間とは違うレイヤーで生きていることを誇示したがるんです。だから、『この美術展がすごくよかった。まだ行ってないの?』『自分はこんなに体に良い食生活を送っているけど、君はどうなの?』などと、頼んでもないのに自分の知識を披露してきたり、自分と他人の生活を比較しては、優越感に浸っている傾向にありますね」
一緒にいると、そのマウンティングに息切れしそうだが、辛酸氏は「良い側面もある」と続ける。
「これまで、女性に比べると、男性はあまりモノを買わない印象がありましたが、商品の品質にこだわるため、サードウェーブ男子の消費欲は高い。昨今、彼らのような男性が増えたら、もっと日本の経済が活性化される可能性もありますよね」
高齢化で消費が落ち込む日本の経済。回復の鍵は、サードウェーブ男子が握っているのかも!?
【辛酸なめ子氏】
漫画家・コラムニスト。学生時代から漫画、イラスト、文章を発表。展覧会などを行う漫画家・コラムストとして活動。近著に『妙齢美容修業』や『諸行無常のワイドショー』など
※写真はイメージです
― [サードウェーブ男子]の意識高い系な日々 ―
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