「ロボットが人間の仕事を奪う」人工知能発達の恐怖
2015年は「人工知能元年」と言われている。各国の企業が本格参入し始めたからだ。科学技術の進歩に大きな期待が寄せられる一方、課題も山積していた――
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<取材・文/週刊SPA!編集部>
人工知能の普及で「ロボットが仕事を奪う」というSF映画のような問題が現実になるかもしれない。
「英イングランド銀行の報告では、低賃金労働を中心に米国で8000万人、英国で1500万の雇用がなくなるとしています」(ロボット専門メディア「ロボティア」編集長・河鐘基氏)
人工知能と人間の仕事について、日本のあるロボット研究関係者は次のように話す。
「人工知能で得られる莫大な利益については再分配の議論が必要。技術の独占で格差が大きく拡大し、経済システムが破壊的なダメージを受けると可能性が考えられる」
一方で、人工知能の発達が人間の仕事を奪うだけではなく、人間の能力そのものを奪うという議論もある。京都大学大学院情報学研究科教授・西田豊明氏は言う。
「そもそも、人工知能が便利だからという理由だけで受け入れてしまうのは問題。それは、人間の知能が考える力を奪う方向に繋がりかねません。そういう根本的な部分での議論が必要となる」
欧米では、「人間を超える知能の存在=人工知能」の是非について議論が高まりつつある。おそらくキリスト教的な宗教的価値観や、各国の文化的側面とも深く関係しているのだろう。文化的受容力が高い日本ですら最近、哲学者や法律家、教育者などを巻き込んだAI議論が始まりつつある。
「現在、検索など個別の需要を満たす人工知能と同時に、より広い範囲で使用するための汎用人工知能の開発も進められています。米国の『ブレイン・イニシアチブ』、欧州の『ヒューマン・ブレイン・プロジェクト』が有名どころで、グーグルなど企業でも開発が進められています」(国立情報学研究所准教授・市瀬龍太郎氏)
人工知能はロボットという理系分野より、文系の領域にこそ課題が多いのかもしれない。
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