「喫煙シーンのある映画は成人指定に」WHOの勧告に正義はあるのか?
今年2月1日、WHO(世界保健機関)が各国に勧告した「喫煙シーンのある映画やドラマなどは成人向けに指定」という発表内容。「世界の若者たちを喫煙に誘導している」という趣旨だが、「厳しすぎる」という声が広がっている。
「未成年者が『映画スターが喫煙するシーンを見てタバコを吸いたくなる』というなら飲酒はどうなのか? 車の運転はどうなのか? タバコだけを槍玉にあげるなら、飲酒や運転のシーンが含まれる映画も成人指定にしないとおかしいでしょう」(42歳・番組制作会社)
「『ワンピース』も『ルパン三世』も子供が大好きでよく一緒に観にいきますけど、喫煙シーンはあります。成人指定になると当然、子供と一緒に楽しみたいのにそれも出来なくなる。別に映画は教育の一環ではなくてあくまでも娯楽。そんな頭ごなしに言ってくるのはバカバカしいと思います」(38歳・主婦)
確かに日本のアニメ映画の登場人物を思い出してみれば、『ルパン三世』の次元も、『ワンピース』のサンジも愛煙家。それが、このWHOの勧告が通れば、当然子供は観れなくなってしまう。
「『風立ちぬ』で『結核患者の近くで主人公がタバコを吸っててムカムカした』なんて嫌煙者によるヒステリックな意見もありましたが、完全分煙が当たり前の現代ならまだしも、兵隊に恩賜でタバコが配給されるなど、戦中はタバコを吸うのが当たり前。そういった意見をいちいち汲み取ってたら、時代考察を描いた作品は作られなくなってしまう。WHOの勧告は表現の自由と文化を顧みない、危険思想です」(40歳・シナリオライター)
そもそも、WHOの勧告とは世界各国の文化作品を検閲するほど効力があるものだろうか。元厚労省の職員は次のように語る。
「WHOの勧告に法的拘束力はありません。それでも、WHOの勧告に唯々諾々と従うのは日本くらいのものですよ。例えばアメリカはエビデンス(証拠)がなければ従わないし、勧告内容についても独自のリサーチとお金をかけたうえで従うかどうかを決めます。以前WHOの外部機関が出した加工肉の摂取と発がん性の関係性についても、日本だけがヒステリックに反応して物笑いのタネになりました」
健康ファシズムかつ、文化の破壊者であるWHOに従う必要はないのかもしれない。 〈取材・文/日刊SPA!取材班〉 ハッシュタグ