“ある意味”泣けた結婚式
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6月。ジューンブライドである。 純白のウエディングドレスに身を包んだ花嫁。それを眩しそうに眺める新郎――。それぞれ、まあ、多少の過去なり事情なりがあったとしても、“結婚式”という儀式が醸し出すハッピーパワーは、そんなものも吹き飛ばす。しかも、式のクライマックス。花嫁が育ててくれた親に対し謝辞、花婿の決意表明を聞けば、自然と涙もこぼれるというものである。 ところが、である。別の意味で、涙なくしては語れない結婚式というものもある。 まずは、従兄弟の結婚式に、列席したある女性(32歳)の目撃談。 「ずっと頑なに結婚式を反対していたおじちゃんが亡くなったことで、ようやく結婚できることになったんです。お嫁さんはそのことを怨みに思っていたのか、入場のときから、私たちがいる新郎側の列席者に対しては一切、無視。かわいそうなのは、おばちゃんで……。ずっと所在なげに、申し訳なさそうにうつむいていて、私と目が合うと淋しそうな微笑を浮かべてました」 昨今の式は、親への感謝、列席者への絆が重視されるというが、もとよりその気持ちがなければ仕方がない。そして、結婚は、家同士がするものと痛感させられるのが次のエピソードである。 「新郎は外資系企業勤務。東北の地方都市の支社に配属になってすぐ、短大卒で事務職の私の従姉妹と“できちゃった婚”。新婦の妊娠はトップシークレットで親戚の間でも、知っている人はごく少数だったんです。それなのに、式の冒頭から、司会をしていた新郎の大学時代の友達が、『では、新郎妊婦の入場です!』と言ったために、場内は一瞬の静寂の後、騒然。新郎の両親はぶ然として、口には出さないものの『田舎娘に息子がだまされた』といった空気が流れ、新婦側ご両親はご両親で『まだ20歳そこそこのうちの娘を孕ませやがって』といった雰囲気。それでも幸せそうに笑っている新婦が、逆に哀れで……」 しかも、そんな険悪な空気を、新郎友人は一切関知せず。 「では、新郎から新婦にバナナを食べさせてもらいま~す 一気にね~」なんて余興を続けていたというから、幸せなものである。 また、花嫁からの悲痛な声も届いた。 「私の旦那は結婚前から女クセが悪くて……私の結婚はほとんど誰にも祝われない結婚式でした。式は人前式だったため、列席者一人ひとりがコメントをお願いしたのですが、当時、バイトしていたお店の店長が、『やめるなら今よ!』と言い出し、その後、延々、別居中の我が身の事情を切々と話し続け……正直、その後のことはよく覚えてないんですよ」(31歳・主婦) 最後は、大学時代の友達の式に出席した男性(29歳)の話。 「ヤツが知り合って3か月の女のコとスピード結婚するって聞いたときは驚きましたよ。式ではオレら、大学時代の仲間4人がスピーチを頼まれていて、一人一言づつ挨拶していったんですが……。最後、グループの紅一点のコが「彼のことはなんでも聞いてね♪」なんて言うから正直、ビビりましたよ。実はそのコは新郎の元カノ。しかも、中1のときから15年間、付き合ってたんですよ。何も知らない新婦の無邪気な笑顔が痛々しくて」 6月の花嫁は幸せになれるという“ジューンブライド”。その由来は諸説あるが、もっとも有力とされているのがギリシア神話の女神、ジュノーを起源とする説。この女神さま、婚姻・母性、そして貞操を司るそうだが、伝えられるエピソードは夫・ゼウスに浮気されては嫉妬に猛り狂うという話ばかり。 幸せは一筋縄ではいかないが、それでも幸せということなのか!? とまれ、6月の花嫁、いや、すべての新婚さんに幸あれ!Photo By epSos.de from Flickr
※写真と本文は関係ありません (取材・文/小山武蔵)ハッシュタグ