田中将大は今年も「ももクロ」を登場曲に…メジャーにふさわしいのだろうか?
今年でMLB4年目を迎えた、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手。だが、入団以来、筆者が本当に気になっているのは投球内容や肘の状態ではない。いちばんの問題は、試合前にマウンドに上がる時に流れる音楽だ。
メジャーデビュー以来、頑なに使い続けている「ももいろクローバーZ」の楽曲。あれは果たしてメジャーリーガーの登場にふさわしいと言えるだろうか? それがずっと引っかかっているのだ。
同様の懸念は、すでに初年度からあった。「ニューヨークポスト」電子版(2014年4月10日配信)の記事では、<田中以外に一体だれが自分専用の登場テーマ曲を引っ提げてニューヨークにやってくるだろう?>とあり、田中がレアケースであると示唆している。そしてももクロの曲は<いまだかつてヤンキースタジアムで流れたことのないタイプの音楽>との評価で、かなりオブラートに包まれた皮肉なのだろう。
さらに日本のバラエティ番組でアイドルと絡んだときの様子も、現地のメディアには「weird」(キモい)と映ったようだ。
いずれにせよ、好意的というよりは“とりあえず野球で結果出してくれりゃいいか”ぐらいのトーンで、田中のセンスがポジティブに受け止められているとは言い難い状況だ。
http://youtu.be/KY5myCRJ7lk
こうした批判に対しては、“田中の趣味なんだから勝手にさせろよ”とか、“それで気分が盛り上がるならいいじゃん”といった反論が多く見受けられる。もちろんどのような趣味や嗜好も法の許す範囲では認められなければならない。しかし、それはプライバシーの限りにおいてだ。
たとえば田中が自宅でももクロのブルーレイを観ながらオタ芸をしようが、オフシーズンにコンサートではしゃごうが、一向にかまわない。それがグラウンドの外での出来事であるならば、とりあえずは“個人の自由”と言うほかないだろう。
では、マウンドは田中将大にとってプライバシーの権利を主張できる場なのだろうか? それは、違う。ボールパークは彼の職場であり、同時に彼の労働に対して対価を支払った観客がベースボールというゲームを楽しむためのサービスを受ける場である。
そして観客は、“打った。抑えた。勝った。敗けた”を確認するためだけにやって来るのではない。巨大なスタジアムの中で繰り広げられる人間の劇を味わいたいのである。
競技は異なるが、サッカーのマンチェスター・ユナイテッドの本拠地「オールド・トラッフォード」が“The Theatre of Dreams”(夢の劇場)との別名を持つことからも、それは明白だろう。スポーツのスタジアムは演者と鑑賞者がいて初めて成立するパブリックスペースなのである。
ニューヨークの観客は「ももクロ」を喜ぶか?
プライベートでいくらファンでもかまわないけれど
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