「生物は、ほぼ死にました」それでも続ける沖縄・泡瀬干潟の埋め立て工事
ダムによる土砂の不足、防潮堤や消波ブロックなどの影響で、国内の9割の砂浜が今世紀中に消滅してしまうという。四方を海で囲まれた日本の海岸線の長さは世界6位。その豊かな海岸線が破壊されてゆく現場をリポートした。
SPA!で何度もリポートした、泡瀬干潟の埋め立て問題。人工島の埋め立て地には土砂がすでに3分の2投下されているという。泡瀬干潟を撮り続けている写真家の小橋川共男氏はこう語る。
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「泡瀬干潟の埋め立てがここまで進むまでは、干潟の浄化機能が働いて、沖の海は非常にきれいな状態でした。ところが、最近になって明らかに透明度が落ちてきている。全体的な水質が悪くなっているのです。例えば、ヒメマツミドリイシというサンゴの群落がありましたが、これは90%以上死滅しています」
日本自然保護協会の安部真理子氏は、泡瀬干潟の定点観測を続けている。
「埋め立てのため囲われた地域の生物は、土砂が投入されてほぼ死にました。今後は周辺海域の生物について見守っていかなければならないと思っています」
泡瀬干潟では、2月から4月にかけて藻類の「ホソエダアオノリ」が大量発生、海底に生息する貝類の大量の死骸が確認されたという。死骸の中には、県がレッドデータおきなわで絶滅危惧種に指定するニッコウガイやリュウキュウアサリガイなども確認されている。これに関して小橋川氏は「泡瀬干潟の埋め立て工事により、海流が変わり潮通しが悪くなったことが原因と考えられる」と話す。
「希少種の移植もうまくいっていない。開発で得られる利益よりも、失われる自然のほうが大きいとわかっているのに、なぜ開発を進めるのか。本当に理解できません」(小橋川氏)
取材・文・撮影/まさのあつこ 鈴木 麦 北村土龍 写真/加藤マサヨシ 日本自然保護協会 小橋川共男
― 日本から砂浜の9割が消える! ―
埋立工事で水質が急激に悪化
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