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沖縄・泡瀬干潟 “破綻した開発計画”の再開でサンゴが生き埋め

第一工区-サンゴ群落

埋め立て予定地のサンゴ群集(スギノキミドリイシ)

『SPA!』本誌でもその計画のムダっぷりをリポートした泡瀬干潟(沖縄市)埋め立て工事が、9月末~10月に再開される見通しとなった。

泡瀬干潟のサンゴの調査研究を続けている日本自然保護協会の安部真理子氏はこう語る。

「埋め立てが強行されれば、現在護岸で囲われている人工島予定区域(第I区域)内の生物はすべて生き埋めになります。ここには、スギノキミドリイシ、リュウキュウキッカサンゴなど約700m2のサンゴ群集ほか、新種・希少種を含めて多くの海洋生物や海草・海藻が生息・生育していました。これまで有効な保全措置がまったくとられないまま、2009年1月に浚渫土砂の投入(現在は中断)が開始されたので、大きなダメージを受けていると思われます。しかし護岸の内部にはまだ多くの生物が生きていると思うので、いま工事を止めたら助かることでしょう」

泡瀬干潟は沖縄本島東部にある、南西諸島最大のサンゴ礁干潟。多種多様の生物が生息し、貝類300種以上(貝殻のみが発見されたものを含めると約500種)、鳥類165種(うち渡り鳥が136種)、海草藻類139種が確認されている。また、トカゲハゼ、クビレミドロなど希少種の宝庫でもある。

泡瀬空撮(泡瀬干潟を守る連絡会)

泡瀬干潟全景。護岸で囲われている内側が埋め立てられる

「経済的合理性がない」「全国的にも貴重な干潟環境を破壊する」と批判の多かったこの計画、2006年に本格的な埋め立て工事が開始されたが、2009年10月に公金差し止め判決を受けて一時中断となった。その後、2010年に沖縄市が埋め立て面積を半分に縮小した新計画を発表、これを国と県が再び承認した。

「工事によって失う自然環境は埋め立て区域だけではありません。周辺の生態系も破壊されています」と語るのは、2004年から泡瀬干潟の海草藻場のモニタリング調査を行ってきた、日本自然保護協会の開発法子氏。

「2004年当時は、埋め立て地陸側の浅場は豊かな海草藻場となっていました。しかし、2006年から激減。砂に埋もれて裸地化した場所があちこちで見られます。現在も回復は見られません。このことは、海草藻場の環境で生息していた貝類・魚類・底棲生物、それらを餌とする鳥類などにも影響を及ぼすと思われます。また、工事による潮流の変化が原因か、埋め立て地東側の砂州が変形を繰り返していたのですが、2011年には平らに広がって水没してしまいました。

これほど大きな変化が出ているというのに、工事の事後調査も変更計画の環境アセスメントも十分に行われていない。2000年に事業者が公表した『埋め立ての影響はほとんどなし』というアセスの結果のまま、工事が再開されようとしているのです」


取材・文/北村土龍 写真/日本自然保護協会 泡瀬干潟を守る連絡会 小橋川共男

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