イライラしたら6秒我慢。怒りを静めるためにできること
年を重ねれば丸くなり、心穏やかに過ごせるものだと思っていたら、どうやらそうもいかないらしい。30・40代のサラリーマン200人へのアンケートでは半数以上がイラつく頻度の増加を実感していた。その怒りへの対処法をプロに直撃した。
イライラが増す現代社会をストレスなく過ごすにはどうすればいいのか? 心理カウンセラーの大嶋信頼氏によれば、まずは「ネットワークの切断」を意識するのが効果的だという。
「社会全体にイライラが広がっているので、他人のイライラに影響される機会が増えています。というのも、脳にはミラーニューロンという神経細胞があり、他人の感情をコピーする癖があるのです。満員電車は典型的で、イライラがパンデミックを起こしている。そういう時は、いったん周囲の情報をシャットアウトし、本当に自分が怒っているのか確認しましょう。できれば、鎮静効果のある水を飲むといい。コーヒーや紅茶だと、利尿作用が強く働き、体内の塩分濃度を高めてしまうかもしれないので、逆効果になる恐れがある」
イライラの発生源を判別するには、以下のような方法も有効だという。
「『自分の怒り』と念じながら手を何度か振り、指の角度を確認してみる。全く反応がなければ周囲からもらった怒り。自分はさして怒ってない。逆に、少しでも曲がったり、引きつったりすれば、自分の心から込み上げた自発的な怒りです」(大嶋氏)
このように、まずは他人のイライラを自分のイライラと勘違いしないことがひとつ。次に、自分自身のイライラと向き合うにはアンガーマネジメントの第一人者として企業で研修を行う安藤俊介氏の提唱するテクニックが効果的だ。
「怒りは時間とともに沈静化するので、まず6秒我慢する『6秒ルール』。さらに、同じ腹の立つ事象でも『まあ、許せる』というゾーンを広げていくこと。そして、そもそも自分が怒ってどうにかなる案件であるか吟味し、怒る場合は怒ると決め、自覚を持って怒ることです」
他人に振り回されず、自分のイライラは自分でコントロールすべし!
<怒りをコントロール!3大テクニック>
・衝動のコントロール
怒りは時間とともに鎮静化、消失していくことが知られており、一般的には6秒経過すれば、ピークは過ぎる(6秒ルール)。自分の中で「大丈夫」、「どうでもいい」など繰り返す言葉(コーピングマントラ)を決めておくと、6秒待ちやすくなる。
・思考のコントロール
「本当に許せない」のか「まあ、許せる」のかを考えてみる。「まあ、許せる」のゾーンが広がるほど、怒りを抱きにくくなる。逆に、あらゆる怒りを「ムカつく」、「ウザい」など一言で括っていると、すべてが「絶対に許せない」となり、ストレスが増してしまう。
・行動のコントロール
自分に関係のある事象なのか? 自分が怒ることで変えられる事象なのか? この2つの観点から、「怒るべきことなのかどうか?」の“分かれ道”をつくる。芸能人の不倫などは、自分とは無関係であり、当事者を変えられないので、怒るだけ自分が損をする選択となる。
【安藤俊介氏】
コンサルタント。日本アンガーマネジメント協会代表理事。著書に『怒りに負ける人、怒りを生かす人』(朝日新聞出版)、『叱り方の教科書』(総合科学出版)など
【大嶋信頼氏】
心理カウンセラー。インサイト・カウンセリング代表取締役。これまでの臨床経験は7万件以上。近著に『ちいさなことにイライラしなくなる本』(マガジンハウス)
取材・文/井上こん 谷口キンゾー 藤村はるな 宮下浩純 撮影/武田敏将 モデル/合谷進之介 名嶋 真 アンケート/エコンテ
― [イライラする社会]への処方箋 ―
イライラを静めるためにできること
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