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片山晋呉の「不適切行為」は非礼ではない。日本ゴルフ改革会議事務局長・上杉隆が語る

片山晋呉

処分に対して「甘い」といった批判の声もあるが、片山自身はツアー出場の「自粛」も発表している 写真/時事通信社

「どうして(招待客が)帰られるのか、(そのときは)理由がわからなかった」  過去5回にわたって賞金王を獲得し、永久シード保持者でもあるプロゴルファー・片山晋呉氏(45)は、プロアマ戦における自身の「不適切な行為」を謝罪したうえで、そう当時の心境を吐露した――。  6月27日に日本ゴルフツアー機構(JGTO)が開いた会見は、日本ゴルフ界新旧揃い踏みの顔ぶれだった。  制裁金30万円と厳重注意処分を受けた片山氏をはじめ、青木功会長(75)や石川遼副会長兼ジャパンゴルフツアー選手会長(26)らが参加。青木氏は「スポンサーがあってこそ、我われは生活できるんです」と平身低頭で語り、石川選手会長も「至らない点があったことを非常に反省しております」と謝罪の言葉を繰り返した。  事の発端は5月30日、日本ツアー選手権森ビル杯の前日に催されたプロアマ戦でのこと。片山氏が同伴者のプレー中に、周囲の了解を得ず自らのパッティング練習を行ったとされ、この「ホスピタリティー(おもてなしの気持ち)」を欠く行為により、不愉快な思いをした当該同伴者が途中で帰ってしまったことに始まる。  日本の男子ツアーは1983年の年間46試合をピークに減少し続け、今季は国内23試合と半減。年間38試合を行い、6年連続で賞金総額が過去最高を更新中の女子ツアーとはあまりに対照的だが、そんな「男子ゴルフ離れ」に歯止めをかけようと、今季から選手会長に石川遼氏が抜擢され、ファンサービス向上を目指し「改革」を始めた矢先の出来事だった……。  7月5~10日に開催された「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」(北海道・ザ・ノースカントリーGC)のプロアマ戦で、石川選手会長は「楽しくプレーするのが、プロアマの目的。今日はそういう点では僕の組は楽しかった」と笑顔で振り返ったが、果たして、伝統の男子プロゴルフ界を揺るがした今回の騒動は、どう読み解けばいいのか? 2014年に日本ゴルフ界の将来を危惧する有志により発足された「日本ゴルフ改革会議」(大宅映子議長)で事務局長を務める、ニューズ・オプエドのアンカーマン・上杉隆氏に話を聞いた。 ――今回、片山氏が「不適切な行為」を行ったとされるプロアマ戦とはどういうものなのか? 上杉:プロアマに何度も出たことがある私からすれば、むしろ「非礼」なのは途中でラウンドを放り出したアマチュアのほうです。プロアマに参加するアマはいわば“上客”で、ゴルフを真に理解している人ばかり。日本のプロアマ戦はトーナメント前日に行われるので、プロがコースの最後のチェックに努めるのは当然と、大多数のアマは受け止めています。  プロアマ戦ではプロとアマがチームを組んで競い合い、アマにすれば同じ組の仲間であるプロに優勝してほしいと思うもの。アマチュアのほうから「遠慮なく練習してくださいね」と申し出るのがむしろ慣例なのです。  フィギュアスケートもエキシビジョンが大人気ですが、行われるのは試合の後。米国の「サンデー・プロアマ」も、プロへの配慮から水~土曜日の4日間で試合を行い、本番を終えた後の日曜日にプロアマを開催しています。つまり、日本のプロアマ戦のように翌日からの試合に備えて練習する必要もないので、今回のような問題は起こりようがないというわけです。
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大事なのはコースに足を運んでくれる観客
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