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転落した「バブル期入社組」の現実。ダメな50代はこうして作られた

 年功序列が崩壊したといわれるが、いまだに年齢階層別平均賃金では50代がピーク。しかし、リストラ、転職失敗、介護など、一度道を踏み外せば、いとも簡単に年収300万円以下へと転落する。バブル期に入社し、「恵まれていたクセに」と同情もされない悲しい世代の横顔は、明日の我が身だ。今まで語られることのなかったそんな転落50代のリアルから、社会人後半戦の教訓を学び取る。 転落する50代

終身雇用・年功序列を夢見ながら50代はどこで転落したのか?

 ’80年代に新卒入社した50代中年サラリーマン。「人生100年時代」においては折り返し地点にすぎないが、なかにはすでに人生のレールから転落してしまった人もいる。そんな彼らの社会人半生は、「激動の平成史」を映す鏡とも言える。彼らの人生のどこに落とし穴があったのか? 去りゆく平成を振り返りながら検証する。 ================= <50代が歩んだ平成30年史> 1989年(平成元年) ・消費税(3%)が導入 ・日経平均株価が史上最高値の3万8915円でバブル絶頂期 1991年(平成3年) ・バブル崩壊。1973年から17年続いた安定成長期の終焉 ・「就職氷河期」が流行語に選出され、非正規雇用が急増 (バブル崩壊のマイナスが時間差で求人に影響を与え始め、当時のアラサーは部下なしで大量の業務を抱え込むことに) 1997年(平成9年) ・消費税5%。北海道拓殖銀行、山一證券が経営破綻 2001年(平成13年) ・「聖域なき構造改革」を掲げる ・小泉内閣発足 (小泉内閣によって公共事業投資が抑制され、内需が冷え込む。就職氷河期がさらに進行し、激務にさらされ続けた結果、バーンアウト) 2008年(平成20年) ・リーマンショック。翌2009年には日経平均株価がバブル後最安値の7054円に下落 (頼みの綱の外需が壊滅状態で、ソニーや日本IBMなど大企業でもリストラが猛威を振るう。当時の40代はそのメインターゲットとなる) 2011年(平成23年) ・貿易収支が31年ぶりに赤字転落 ・中国に抜かれてGDP3位に 2012年(平成24年) ・第2次安倍内閣が発足し「アベノミクス」を推進 2014年(平成26年) ・消費税8%へ引き上げ 2018年(平成30年) ・完全失業率が25年ぶりの低水準(2.2%) ・2017年度の企業内部留保が過去最高の446兆円と発表される =================  まず、転落の引き金として思い浮かぶのは、’91年のバブル崩壊。だが、「そこまでダメージは大きくなかった」と語るのは、経済ジャーナリストの須田慎一郎氏だ。 「確かに株価や地価は下落したものの、物価は変わらず給料も微増。実質的な生活レベルはさほど変わりませんでした。むしろ、国の公共事業投資が限界を迎えたことで’98年に引き起こされた『戦後初の賃金下落』、ここが地獄の始まりでしょう」  企業の現場からも同様のことが指摘できると、人材育成コンサルティング企業を営む前川孝雄氏。
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そして超就職氷河期に
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