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成人式に「参加したくない」若者たち…大学生、浪人生、フリーターそれぞれの事情

 いま、成人式に参加したくない若者が増えているらしい。日本財団が18歳の男女800人にアンケートを実施したところ、全体のおよそ3割が「成人式には参加しない意向」だと答えた。友人に会いたくない、成人を祝うことに意義を感じられない、といった理由であり、同様に全体の3割が公式の「成人式」は必要ないとしている。今回は、そのリアルな声を聞いてみた。 成人式

成人式は“一部の人たちのための集まり”に過ぎない

「うーん、地元には帰りますが、会場には行かないですね。スーツは一応買いましたが、就活とか結婚式のときに着たらいいですし」  広島県広島市出身の大学生、助川光毅さん(仮名・20歳)はこう言う。今年、成人式を迎えたが、会場には行かず、高校時代の友人数名で集まり、居酒屋でささやかに“大人の仲間入り”を祝うのだという。助川さんは「成人式は“一部の人たちのための集まり”に過ぎない」と話す。 「暴れる成人とか、いわゆる“リア充”が集ってバカ騒ぎするだけ。僕はおとなしい方だったから、あの輪の中に入りたくないですね」  冷めた見方のようにも思えるが、中学・高校時代のそれぞれの立場を引きずったまま行われる成人式は、別の新成人からも「嫌気がさす」と忌避されている。栃木県出身の大学生・マリナさんがこう話す。 「中学時代のヤンキーが大暴れして、飲み会でも私たちにあれこれ指図してきたり、バカにしてきたり。あれから何年たってるの? あなた仕事してる? 私は立派に勉強して、資格もとって……。イキるだけで、中学時代と頭の中身が変わっていない。そういう嫌な思いをしたくないので参加しません。彼らがいるというだけで地元が嫌いになります」  東京での実生活と、地元に帰省した時の同級生の「意識の差」にうんざりし、成人式は同じような境遇の地方出身者の新成人と、都内の学生サークル団体が開催するパーティーに参加するつもりだという。 成人式

現在の自分の境遇が「よくない」から…

 また、現在の自分の境遇が「よくない」と思う人々も、やはり成人式には参加したくないと訴える。愛媛県の中岡さん、佐々木さん(共に仮名・20歳)は浪人生とフリーター。こんな状態で成人式を「祝われる」ことに、大変な違和感を抱いている。 「薬学部を目指して二浪目、入試前の大切な時期に浮かれてられないし、友人からは“まだ浪人?”といわれるに決まっている。だから、家でささやかにお祝いをして、勉強に励みます。成人式のニュースも見ないようにしないと……」(中岡さん) 「専門学校を中退し、やりたいこともなく生活のためにコンビニでアルバイトを続けている身です。親や親族からは成人したのに……って散々言われて。むしろ、なぜ20歳を超えたらフリーターをしちゃダメなのか? 20歳なら働くか学生やってなきゃダメ、って風潮が嫌です」(佐々木さん)  筆者が成人した頃はといえば、荒れた会場もあったが、一応みんなが“晴れの日”に集い、思い出話に花を咲かせたものだ。むしろ、9割方が「成人式にはぜひ参加したい」と思っていたはずなのだが、最近の若者たちは合理的というかドライというべきか……。少し寂しい気がするアラフォーの筆者であった。 <取材・文/森原ドンタコス>
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