コロナ騒動のリモートワークであぶりだされた“不要な上司たち”
新型コロナウイルス感染拡大防止のために、多くの企業で導入された「リモートワーク」。当然、現場仕事がメインの人々にとっては無縁の話であるし、「膝を突き合わせていないと仕事した気分にならない」という日本人も多く、賛否はある。
果たして、業務上でいちばんの無駄とは何だったのか。杉本さんが続ける。
「ズバリ、仕事をしない上司ですね。年功序列で、自動的に部課長クラスにあがった人たちの中には、普段デスクでワーワーと的外れな指示を飛ばし、社員を疲弊させるだけの人がいますが、彼らはリモートになった瞬間、空気のような存在になりました。何かあれば、割り込んできて物事を面倒にしたり、大げさに騒いだり……。上司だから何も言えませんでしたが、彼らが週に3度いないわけですから、仕事が捗ってしょうがない」(杉本さん)
一応は上司なので、朝昼夕の三回、業務報告を電話で行うが、的確な指示も注意もなく「お疲れさん」で終わる。結局、上司がどれほど「無駄な存在」かがあぶり出されたことがリモートワークの最大の効果だったと断言するのだ。また別の会社でも、同様のことが……。
しかし、事務方からは歓迎の声も聞こえてくる。いわゆる“働き方改革”としていくら政府が音頭を取ったところで一向に進まなかった取り組みが、「コロナ騒動をきっかけについに現実になった」など、ここにきて一気に進んだのだ。
「私は営業ですが、週二回はリモート勤務。煩わしい朝礼、日報を書くために外から会社に戻るといった無駄が削がれた感じです。また、いくら上司に進言してもダメだったビデオ会議システムの導入も実現した。コロナ騒動によって、社の利益はかなり落ちていますが、改革が断行された気もしています」
都内の建設系コンサル会社勤務の杉本哲也さん(仮名・40代)がこう話すように、特に若手社員からは旧来の日本的な働き方から解放されるきっかけになれば、願いにも似た思いが溢れ出る。
そしてそれ以上に、リモートワークという業務効率化によって見えてきたのは、そんな「無駄」の本丸だ――。
リモートワークであぶりだされた“会社の無能な人たち”
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