仕事

テレワークで浮き彫りとなったムダな仕事、ムダな経費

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、多くの企業が「テレワーク」の導入を迫られた。幅広い世代が混在する組織、パソコンに不慣れな社員もいるなかで当初は足並みを揃えることに難儀していたはずだが、試行錯誤を繰り返して“見えてきたもの”もあるはずだ。

テレワーク中心でも「仕事がまわる」と判明

テレワーク

※画像はイメージです(以下同)

 Webコンサル会社経営・山岡大輔さん(仮名・40代)は、東京都内にあったメインオフィスの賃貸契約を、6月いっぱいで打ち切る判断を下した。  3月の中旬から約50名の社員のほとんどがリモートワークに移行、会社には山岡さん他数名の幹部しか出社していないが、それでも「仕事がまわる」ことが判明したからだ。 「家賃は月に70万円ほどでしたが、メインオフィスの規模を縮小し、別の場所に借り換えました。仕事の大半は社員が自宅でやっていますが、何の問題もありません。オフィス代に水道光熱費、社員の通勤費用、ゴミも出ない。昼食もほとんどは外出で済ませていましたが、リモートなら自炊で済むと社員からも好評です。浮いた分は社員への給与として還元もできます」(山岡さん)  山岡さんの会社の幹部社員・坂本郷さん(仮名・30代)もリモート化に賛成だ。 「はっきり言いますと、今まで社内でやっていた会議はほとんどが不要だったとわかりました。問題解決のために、新プロジェクトのために、まず会議。会議のための会議が大半だったんですね。ビデオ会議では、まず無駄な時間がほとんどない。あえて言えば、社員同士のリアルな交流が減り、何気ない会話から何かが生まれる、という機会が減る恐れもありますが、失ったもの以上に得たものが多いと感じています」(坂本さん)  都内の某省庁勤め・槇原逸郎さん(仮名・40代)も、4月に入ってからはほぼ全てリモートワーク。出社は数える程だというが「人と会う時間が特別なことになった」と話す。 「職場にいれば、上司も部下もいつでもすぐ近くにいます。だから、要件があっても“あとでいいや”と先送りになったり、おざなりになったりすることも少なくありませんでした。今では“人と会う”というのは特別なこと。せっかく会うのだからと、これまで以上に入念に準備をして、無駄なやりとりをしなくて済むよう心がけています」(槇原さん)  中間管理職の槇原さんの場合、部下の仕事ぶりや精神状態を把握しておくのも重要な仕事。日々の何気ない会話や飲みニケーションもゼロになったが、これまで敬遠していたチャットやメールによるコミュニケーションで、部下の意外な横顔も知れると喜ぶ。 「職場ではいまいち話し下手な部下が、チャットだと驚くほどカジュアルに接してきてびっくりしたことがあります。リアルでは話し上手のほうがどうしても有利ですが、リモートワークによって、話し下手でも才能がある部下の存在に気がつきました。顔が見えなくても、新しい形で仕事を進められるというのは本当に大きな発見でした」(同)
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ついていけない社員も…会社の必要性を改めて感じた
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