芸能界のド底辺「地底アイドル」の実態。「オタクからも“下”に見られる」
「最近は“地底アイドル”が増えてきました」
こう話すのは、アイドル、声優、コスプレイヤー、セクシー女優など、芸能界でさまざまな活動を経験してきた優月心菜さん。
「私は、売れなかったアイドル時代が長かったので……」と自虐気味に語る優月さん。じつは彼女、グラドルの活動と並行して、ある“撮影会”のスタッフとしてアルバイトもしていたという。そのとき、明確な格差を感じていたそうだ。
「スタッフの仕事は雑用全般なんですが、精算もしていたので出演者の日給・ギャラが全てわかってしまうんです。
人によって、とにかく身入りが全然違う。そこそこDVDを出していて人気のある子は10~20万円。当時人気だった某深夜番組に出演していたグラドルは、1日で40万円でした。事務所に半分取られたとしても、かなり良い日給ですよね」
たった1日でサラリーマンの月収ほどを手にするとは驚きだ。とはいえ、それはほんのひと握りである。多くのグラドルの実情は……。
「その他のモブみたいなグラドルは1万5000円。ちなみに私もモブなんで(笑)、1万5000円でした」
筆者(吉沢さりぃ)も“底辺”を自認するグラドルだが、数年前その撮影会に出演したことがある。もちろん、ギャラは1万5000円だったので苦笑いするしかない。
メジャーシーンではなく、アンダーグラウンドで活動する“地下アイドル”という言葉が知られるようになった。アイドルの格差が広がるなかで、「“地底アイドル”が増えつつある」と優月さん。
「彼女たちは、限りなく一般人に近い。SNSのフォロワーも少なく、撮影会やオフ会ばかりしているみたいな。アイドルとかグラドルとか名乗っていてもDVDは出したことがなく、ネットで検索しても仕事履歴がまったく出てこない。地下よりも潜っているから地底です」
フォロワー(ファン)が少ないということは、さぞ苦しい生活を強いられているのかと思いきや、「売れてないけど、売上はある」そうだ。
「人気はないけど、お金は稼いでるんです。というのも、ファン対応が神対応を通り越して過剰。SNSでDMを返すのは当たり前だし、撮影会も個人で開催して手を繋いだり、ご飯を食べに行ったり。撮影会っていうか“デート”ですね。また次回も来てもらうために、外で会って恋人同然のことをする子もいました」
そう言って彼女は「たとえば、この子とか」 と1枚の写真を見せてくれた。だが、筆者も編集者(カメラマン)も顔や名前を全く知らなかった。確かに、アイドルというよりは、一般人にしか見えなかった。
「こういう子がいるから、“モブアイドルには何してもいいんだろ”って勘違いして変なことをするオタクが増えるんです。日給10万円以上のギャラがもらえるレベルで、メディアに出てる子には撮影会でも失礼なことをする人はいない。出来ないんです」
大小の芸能事務所が存在し、フリーランスまで含めれば全国で数百人、数千人にものぼると言われる「アイドル」。現役グラビアアイドルでもある筆者(吉沢さりぃ)もフリーランスだ。
テレビや雑誌だけではなく、SNSを主戦場とするアイドルも増えてきた。特に資格が必要な仕事ではないので、もはや自分で名乗ればアイドルと言えるのかもしれない。そんななか、格差は広がる一方である。今回は彼女が見てきた、肌で感じてきた“アイドルの格差社会”について話を聞いた。
アイドルの格差社会「同じ現場でもギャラがぜんぜん違う」
一般人に限りなく近い「地底アイドル」の実態
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ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
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