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テレワークと育児の両立がムリゲーすぎる。「絶望」する夫婦たち

 我が国で新型コロナウイルスの蔓延が始まってから、丸1年が経過した。リモートワークが推進され、出社する機会が減るなど、ライフスタイルそのものがまるっきり変化。おうち時間が増えるなかで新しい趣味を見つけたという人もいるはずだ。  それを当初は歓迎したが、今となっては「絶望」と感じている人たちも少なくない。

子育てと仕事の両立に絶望

疲労

※写真はイメージです(以下同)

 福岡県在住の会社員・西岡治樹さん(仮名・40代)がこう話す。 「40過ぎてやっと生まれた子ども。私たちにとっては何よりも大切な存在で、できれば四六時中いっしょにいてあげたかったのですが、共働きで叶いませんでした。コロナの影響で、まず私が在宅勤務となり、これでやっと子どもとたっぷり過ごせる、そう喜んでいました」(西岡さん、以下同)  小学校入学前の子どもは幼稚園が休園したこともあり、平日は西岡さんの両親に預けていたが、在宅勤務であれば、子どもの面倒をみながらでも仕事ができる。会社にもその旨を伝えており、「子育てで多少業務が滞っても仕方ない」と笑って話す上司の存在は、涙が出るほど嬉しかったと振り返る。  ところが、在宅勤務を始めてから1か月も経たないうちに、子育てと仕事の両立に無理が生じてきた。 「子どもは朝起きて妻が出社して家にいないと知ると、1時間も2時間も泣き止みません。オンライン会議中でもお構いなしに話しかけてくるし、当初は笑い事で済んでいたのですが、次第に相手も明らかに怪訝な目に変わってきて。もう、四六時中テレビやYouTubeを見せているしかなくなってしまいました」  子育てと仕事の両立の難しさを早くも思い知った西岡さんだったが、そんな折、妻の仕事も在宅勤務に移行することが決定。  子どもと過ごすことができると喜ぶ妻。一方、子どもの面倒を一人で見なくて済むと喜ぶ西岡さん。ところが、これが「絶望」の序章だった。

変わってしまった妻

「私より妻に懐いている子どもは、ママがいることが嬉しいのか、妻の膝上から動こうともしません。妻も最初は喜んでいたんですけどね。1週間ほど経った時点で、妻が初めて子どもを怒鳴りつけた。最近では悪戯をした子どもに手をあげるようにもなりました。妻のことは学生時代から知っていて、極めて温厚な性格だったんですよ」  平日の仕事中でも常に子どもを見ていなければならないという大変さ、そして、それによって仕事がうまくいかないことへのフラストレーションが、妻を別人に変えてしまったというのである。 「テレビを見せていると、リモコンを取り上げて“こんなの見るな”と怒鳴る。まだ小学校にも入っていないのに、知り合いからもらってきたという教材を子どもの前に広げて、勉強するように強制したり。理想的な生活だと思っていたはずなのに、なぜ、という感じです」
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夫が家事をするようになったが…
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。

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