コロナにキャリアを奪われたアラサーOL。人生設計がめちゃくちゃに
コロナ禍で多くの人が人生を狂わされている。進学に就職、結婚や出産。描いていたライフプランが崩れ、「こんなはずでは……」と絶望している人も多いだろう。
都内在住の理沙さん(仮名・32歳)はコロナ前、海外で経験を積むために正社員を辞めた。しかし1年半経っても渡航の見通しが立たず、正社員にも戻れないまま派遣で食いつないでいる。「人生の目標を持てなくなった」という彼女。一体何があったというのだろうか。
「本来なら今頃、日本に帰ってきて正社員に戻っているはずでした」
2019年の暮れ、理沙さんは働いていた人材派遣会社を退職した。人生最後のワーキングホリデー(以下、ワーホリ)に行くためだ。
国によって違いはあるが、基本的に18歳以上30歳以下であればワーホリビザを申請できる。当時30歳だった理沙さんにとって、これがラストチャンス。海外文化に触れながら英語のスキルアップを図ろうと、オーストラリアへの渡航を決意した。
「ワーホリ自体は一度行っているんです。25歳の時カナダに飛んで、トロントのコリアンタウンに住んでいました。すっごく楽しかったんですが……語学力が今より低くて、アジア人とばかり接していたんですよね。“趣味”で繋がっていられるような現地の友人を作れませんでした」
語学力向上と友人作り。それが前回のワーホリでやり残した事だった。
ワーホリは各国毎に一度しか利用できない。今回オーストラリアを選んだのは、趣味が関係していた。
「趣味でサーカス芸を習っているんですが、オーストラリアはサーカス文化が盛んで、サーカス学校やスタジオがたくさんあるんです。それなら現地の友達もたくさんできるじゃん! って思って。カナダに行った時は、これといった趣味が無かったので……。習い事目的で行くワーホリは絶対に楽しいだろうなって」
退職の準備と並行し、サーカス学校やスタジオの情報収集を始めた。円満退社を経て次に取り掛かったのは、資格取得だ。
「J-SHINE(小学校英語指導者認定資格)の準資格を持っているので、正資格にしようと養成講座に通い始めました。50時間の実習が必須なので、ワーホリの準備期間で取れるなら取っておこうと。こう言うと意識高そうに見えますが、準備しながらの片手間です(笑)」
講座に通いながら、オーストラリアでの滞在計画を詰めていった理沙さん。渡航後は2週間ホテル滞在し、地元掲示板でルームシェアの募集を探すつもりでいた。
OLとしてのキャリアを高めるために、語学学校にも入学する予定だった。
「IELTS(※英語圏の国に留学・就労・移住を希望する人の英語力を測定するテスト)対策で、語学学校に2ヵ月通うつもりでいました。高スコアを持っていれば、現地で有給インターンに入れます。その経歴があれば、帰国後に活かせると考えていたんです」
日本に戻ったら、海外事業部がある企業に再就職しよう――。
自身の人生計画に胸を膨らませていた。だが、コロナ到来で彼女の夢は一気に崩れ去ってしまう。
サーカスを習いにワーホリを決意
着々と準備を進めていたが…
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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