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高校サッカーがJユースを上回る可能性。青森山田の強さから探る

青森山田が3度目の優勝

ケチのつけようがない強さだった。第100回全国高校サッカー選手権大会は、優勝候補の筆頭だった青森山田高校(青森)が3年ぶり3度目の優勝を飾った。 決勝戦は、大津高校(熊本)を相手に4-0の完勝。卒業後にプロの世界へ進む主将のMF松木玖生(3年、FC東京に加入内定)とMF宇野禅斗(3年、町田ゼルビアに加入内定)が中盤を支配し、相手にシュートを1本も打たせない徹底した守備で波状攻撃を生み出した。 黒田剛監督は「何でもできるサッカーを志向してきた。パーフェクトなゲームをやってくれた」と教え子たちを褒め称えた。相手が守備で粘っても、コーナーキックやフリーキックといった攻撃のタイミングを合わせやすいセットプレーからゴールを奪った。初戦となった2回戦からの5試合で合計21得点、1試合平均4得点以上という驚異的な得点率でゴールを量産。圧倒的な強さを見せつけた優勝劇だった。

タイトルを総なめ、3冠を達成

青森山田が強かったのは、今大会ばかりではない。今季は、獲得が可能なタイトルをすべて手に入れた。夏のインターハイも全国優勝、Jリーグクラブのユースチームも参加して年間を通じた成績を争うプレミアリーグEASTも制し(今季はコロナ禍による日程変更の影響でWEST優勝チームとのチャンピオンシップは開催されず)、そして冬の高校選手権も制覇。主将の松木は「1試合1試合を大切に戦うことに矢印を向けたことが、3冠につながった」と目の前の試合に全力で挑み続けてきた1年を振り返った。 第100回のメモリアル大会を制すると同時に年間3冠を達成したことは「青森山田時代」の到来を象徴している。青森山田は、今回で4年連続の決勝進出。2016年度の初優勝から6年で3回目の優勝を飾った。この間に、今季を含めるとインターハイでも1度、プレミアリーグEASTで3度優勝。そのうち2回は、WEST王者とのチャンピオンシップも制して日本一となっている。
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青森山田の強さとは?
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1979年生まれ。東京都出身。「スポーツナビ」編集記者を経て、2008年からフリーライターとなる。サッカーやバドミントンなど、スポーツ全般を取材。高校サッカーなどの育成年代、マイナーな競技や大会の取材も多い。
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