更新日:2024年05月18日 09:33
仕事

2年で有料会員2万人の「みんかぶマガジン」編集長が語る快進撃の秘訣「読者の人生に伴走するメディアであること」

読者のライフイベントに常に寄り添う媒体に

サブスクリプション型メディアの中で、快進撃を続けている「みんかぶマガジン」編集長の鈴木聖也氏。WEBメディア戦国時代とも言える昨今、編集長就任から2年で約2万人のプレミアム会員を獲得した秘訣を聞いた

 昨今、メディアの在り方が大きく様変わりしつつある。  デジタルコンテンツがメディアの主流となり、オールドメディアとの連動はもちろん、広告収益型からサブスクリプション型に移行する媒体も増え始めた。  多くのメディアが生き残りをかけてしのぎを削るなか、ひときわ躍進しているのが「みんかぶマガジン」だ。2022年5月の創刊から約2年で累計プレミアム会員数約2万人と順調に拡大を続けている。  同媒体の鈴木聖也編集長に、これまでの軌跡とメディア運営の秘訣を聞いた。 ――みんかぶマガジンとはどのようなメディアなのでしょうか? 編集方針、目指している姿について教えてください。  みんかぶマガジンは、金融情報サイト「みんかぶ」の有料プレミアムサービスの中の一コンテンツです。  多くの記事は、有料会員にならなければ読めません。編集方針は特に大きく設けていませんが、あくまでも読者が「お金を払ってでも読みたい記事」を出すことを第一にしています。みんかぶマガジンでは株・投資・資産形成の記事は全体の4割程度に抑え、残りの記事はお金の使い先に関する記事を出しています。  なぜ読者が投資に興味あるかといえば、何かにお金が必要だからですよね。息子の中学受験のために塾代300万円が必要だ、家を買うために頭金を1000万円用意したい、老後のために2000万円貯めておきたい、婚活のため、推しに全力だから金が必要などなど……それらは、基本的にライフイベントとなぞられるものです。  みんかぶでは、お金の使い道と資産形成の仕方の両方を記事として提供しています。さらに、転職→婚活(結婚)→不動産購入→子供の受験→老後というようにライフイベントごとに特集をつくることによって、読者に長くプレミアムサービスを利用してもらえるような姿を目指しています。 ――以前は雑誌『プレジデント』の編集部におられましたよね。ウェブメディアであるみんかぶマガジンの編集長を任されたときに、志したことは何でしょうか?  みんかぶマガジンを任された際、あまりルールや編集方針は決めずに、とにかくどうやったら会員数が増えるのか、持続可能な事業にするのかということを考えていました。 「ジャーナリストを支援したい」「良質な調査報道を掲載したい」などと、大きな目標をたてたところで事業が成立しなければ、周りの人を不幸にするだけだと思っていたので、まずは安定してメディアを回せるようにしようと。  その上で、いつかはウェブ上の「文藝春秋」のような媒体にしたいとは思い浮かべていました。その媒体に寄稿したり、インタビューされたりすること自体が、作家らにとって誉であるような存在になってほしいな、と。

伸び悩むPVを救ったのは「米中危機」

――登録者数が伸び始める少し前の時期に心がけていたことはなんでしょうか?  無料メディアの場合は、乱立によりPVの上げ方のノウハウはもはや研究しつくされているようにも思います。一方で有料メディアの場合はまだ成功事例が少なく、手探りでやる必要がありました。つまりトライアンドエラーを続けることです。最初のほうは記事を出してもほぼ無風で、数字を見るのが心底辛かったです。  一時期は、成功しているサイトをそのまま模倣しようとも思っていました。しかし、それをやってもなかなか数字に繋がらなかった。  そんな中、2022年8月に米国のナンシー・ペロシ米下院議長が台湾に電撃訪問した際、政治アナリストの識者に、最悪の結果として米中摩擦激化による戦争、戦争に日本が巻き込まれる可能性などを解説してもらって記事が初めて”跳ね”ました。自分の身に危険が迫っているからこそ、読者としてはそれが会員になるインセンティブになったのかなぁと思いましたが、そういった形で何か数字に動きがあれば分析し、深堀していく、ということを続けました。 ――数を打ち続けてPDCAを回すことが奏功したと言えるのでしょうか。  通常のPDCAとは違い、「無駄な記事」を作らず、一つの記事のアベレージを上げていくことを心がけていました。つまり、ダメだった記事の改善にコストをかけるよりも、PVの良かった記事をさらに発展させていく。これがWEBメディアの場合は大事であることに気づきました。 ――読者はみんかぶマガジンにどんなことを求めていると思われますか?  みんかぶマガジンは色々な見え方がされていると思います。中学受験特集で入会した人もいれば、投資の記事で入会した人もいますし、羽生結弦さんといった”推し”の記事を読みたくて入会した人もいるでしょう。そんな中で、大切なのは今お金を払っている人に対して裏切らないということだと思っています。  吉田豪さんの短期集中連載「私が愛した松本人志」をきっかけにみんかぶを購読してくれた読者も、たくさんいらっしゃいます。彼らの期待を裏切らないためにも、彼らが読みたいと思えるような記事を継続して出していきたいと思いっています。  一方で、人は生きるためにはお金が必要なので、ぜひお金に関するコラムも読んでいいただきたいですし、会員になったら使える資産管理ツール「アセプラ」も利用していただいて、みなさんのお悩みや推しのために仕えるお金を増やしてもらいたいです。  いずれにせよ、みんかぶマガジンとしてこだわっているのは本物の声です。投資に関する記事ではとにかく第一線で活動する投資家さんの声を重要視しています。経済アナリストよりも投資家の感覚や哲学、自分なりのルールなどを記事にしています。中学受験の記事でも、中学受験した子どものお父さんの記事は大変読まれます。そういった本物の声をこれからも大切にしていきたいです。
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総理大臣から西成の労働者までが肩を並べて登場するメディアになりたい
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