新日本とUWF「熊本旅館破壊事件」の真相。「あん時は武藤(敬司)も思いっきり殴ってたもんな」
第一次UWFの旗揚げから今年で40年。アントニオ猪木のために設立され、カルト的な人気を誇った団体の「40年目の真実」とは? 愛弟子だけが知る「猪木の素顔」とは? アントニオ猪木とUWFに人生を翻弄された前田日明と藤原喜明の二人によるNGなしのガチンコ対談をお送りしたい。気になるテーマは「熊本旅館破壊事件」についてだ。
(本記事は『アントニオ猪木とUWF』(宝島社)より、一部抜粋したものです)
新日本とUWFの業務提携から1年。選手間の緊張関係はなおも続いており、試合もスタイルの違いから噛み合わないことが多く、興行成績もなかなか上向かず低迷していた。そんな状態を解消すべく「87新春黄金シリーズ」の九州巡業中、熊本県水俣市の旅館で両軍のわだかまりを解くべく新日本とUWF合同の宴会が催された。
しかし、想像以上に泥酔した選手たちが次々と暴れた結果、旅館をメチャクチャに破壊する事態に発展。融和のための飲み会が、まったくの逆効果となってしまった。これは「熊本旅館破壊事件」として今や伝説となっているが、いったいそこで何が起こったのか? 参加者全員が酔っ払い状態だっため、様々な証言の食い違いが生じ、真相は藪の中となっている。
ここではあらためて、前田、藤原の目から見た熊本旅館破壊事件を語ってもらおう。
──新日本とUWFの緊張関係が続くなか、1987年1月に熊本県の旅館で両団体の親睦を図る宴会が催されたものの、みんな酔っ払って大変なことになりましたよね。通称「熊本旅館破壊事件」と呼ばれていますが、あの日のお二人から見た“真相”を聞かせていただけますか?
前田日明(以下、前田):あの飲み会はね、俺たちがリング上でしょっちゅう衝突しているから、小鉄さんが「一度、みんなで酒を飲みながら話でもしたらどうだ」って言って行われたんだよ。
藤原喜明(以下、藤原):べつにああいう宴会っていうのは、珍しいことじゃないんだよ。昔は一度巡業に出ると1カ月以上は出ていたし、休みも少ないからストレスが溜まるわけだ。そうすると、たまに試合が休みになる日の前日、みんなで酒盛りしてストレスを発散させるんだよ。この時ばかりは無礼講だから、俺らも酔っ払ったフリして猪木さんや坂口さんに絡むわけだよ。そしたら猪木さんたちは大人だから、ちゃんと話を聞いて、「まあまあ、お前も大変だろうけど」って慰めてくれるんだ。
「熊本旅館破壊事件」とは何だったのか
無礼講だから、「酔っ払ったフリして絡む」
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