ライフ

夏の男のサンダルは「レザー一択」。合皮や“ビルケンもどき”がNGなわけ

こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。 今年も酷暑の予報に、靴なんか履いてられないという方も多いでしょう。私も仕事や遠出以外は、毎日サンダルを愛用しています。といっても、いい大人ですから、アスファルトやコンクリートにビーサンなど無粋なことはいたしません。 大人が履くべきサンダルは、まず革、レザー一択です。履き心地・歩き心地もスポーツサンダルと遜色はありません。 スポサンはデザインに進化がなく、アウトドアシーン以外ではどうしても子供っぽくなってしまうのが難点です。また、流行りのリカバリーサンダルも「疲労回復=歩きやすさ」ということではなく、意外と足元が不安定になるので、タウンユースで履くなら革サンダル一択といっていいでしょう。

大人が履くべきサンダルはレザー一択

natsu005

アイランドスリッパ「PB203 / CHARCOAL SUEDE」。2万2000円。写真は公式販売サイトより

本格レザーサンダルの一推しがメイド・イン・ハワイの「アイランドスリッパ」です。セレクトショップや、百貨店でも一部取り扱いがあります。タフで味があってド定番なので、本当におすすめ。 創業は1946年、ハワイへ移住した日本人が創業者です。公式価格では2万2000円。既製品ではありますが、ほぼフルハンドメイド。全工程をハワイの小さな工場で生産しています。もちろん雪駄がモチーフです。 なにせスエードの発色が本当に素晴らしい。世界的に革屋がどんどんつぶれていっているなか、肉厚でほどよいざらつき感があり、退色して経年変化しても味になるサンダルメーカーは唯一無二でしょう。 ハンドメイドならではの「手加減」で、鼻緒が痛くならないのもアイランドスリッパの特徴。自然体で、おしゃれを格上げしてくれます。 筆者が仕事で行っている「フィッティング会」(合わない靴をその場で合わせます)にはよくドクターがお越しになりますが、アイランドスリッパ率はことのほか高い。「鼻緒をつかんで歩く」ことは足の握力を自然に、かつ効率的に鍛えるので、手放せないのだと思います。ビルケンのように過剰なアーチがあるものより、自分でアーチを鍛えたほうが結果的に、健康にはよいということ実践されているのだと思います。

もっと予算のある方はユッタニューマン

日本では5万~7万円前後、現地でも200ドル近くしますが、比類なき無骨かつ洗練されたフォルムにはその価値がありますし、エンジニアブーツのようにタフで、もちろん経年変化が楽しめます。 スニーカー仕様のスポーツサンダルは、本格アウトドアショップのもの以外、意外に短命です。底もアッパーの合皮も加水分解を起こすので、安全に履けるのはせいぜい2シーズンほどでしょう。なによりへたったサンダルほど気分を下げるものはありません。 natsu001ちなみに筆者は自作したレザーサンダルを愛用しているのですが、元ネタはユッタニューマン。捨てる寸前の廃材を利用したもので、9年酷使してまったく壊れる気配はありません。 コロナ以降開催が見送られてきた「サンダルづくりのワークショップ」も今年あたりから再開され始めていますので、みつけたら申し込んでみましょう。自作サンダルはつくるのも簡単でフィットしますし、なにより愛着もわくので本当にお勧めです。
次のページ
安価な合皮サンダル、ビルケンもどきはNG
1
2
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ