【NBA】ハーバード大卒のアジア系選手が全米で話題に
先週6月21日のNBAファイナル第5戦、マイアミ・ヒートがオクラホマシティ・サンダーを下しチーム史上2度目のファイナル制覇を遂げた。今季クリーブランド・キャバリアーズからマイアミに移籍したマイケル・ジョーダン2世と騒がれ、2003年のドラフト全体一位でプロ入りしたレブロン・ジェームスは、キャリア9年目で悲願の初優勝を果たした。
しかしNBAの2011-12年シーズンを振り返った時、人々の記憶に最も強烈なインパクトを残したのは、ヒートでもレブロンでもないだろう。今季、突如としてブレークした台湾系アメリカ人選手、ジェレミー・リンの活躍だ。
◆ハーバード大出身「鳴かず飛ばず」だったリン
ハーバード大出身のリンは、2010年に、ドラフト外でゴールデンステート・ウォリアーズに入団した。ドラフトに漏れた選手が主な対象のサマーリーグでの活躍がスカウトの目に留まり、生まれ育ったカリフォルニア州ロス近郊に本拠地を置くゴールデンステートと契約をした。
2010‐11年シーズンの出番は、当然のことながらほとんどなく、もちろんスタメンもゼロ。野球でいうマイナーリーグに該当する、NBAデベロップメント・リーグ(通称Dリーグ)とNBAを行き来する「日の目を見ずに数年で解雇される、よくいる選手」のひとりだった。
ロックアウト終了直後の今シーズン開幕前、ゴールデンステートを解雇されたリンは、暮れにニューヨーク・ニックスと契約して新年を迎えた。
2012年初春――。底の見えない不況に沈み、停滞感が溢れていたアメリカ・ニューヨーク。そこを本拠地にするNBAの名門チーム、ニューヨーク・ニックスも、ロックアウトの影響での過密日程のなか、主力選手のケガなどに苦しんでいた。
年明けにDリーグ降格となったリンは、そこでトリプル・ダブルの活躍を見せ、1月下旬にニックスに再昇格した。ファイナルからわずか5か月前、リンはこの程度の選手で、もちろん彼の名を知る人は皆無だった。
最初のきっかけは、2月4日のニュージャージー・ネッツ戦だった。リンは自己最長となる36分の出場と、チーム最多の25ポイントを記録。勢いに乗ったリンは、2日後のユタ・ジャズ戦でキャリア初のスタメン出場を果たすと28ポイント8アシストの大活躍。
次戦の対ワシントン・ウィザース戦でも23ポイント10アシストの、ダブル・ダブルを記録。そして極めつけはロサンゼルス・レイカーズ戦。リンはキャリアハイ(そして今季のチーム最多)となる38ポイント7アシストと大爆発。主力2人を欠くチームの絶対的窮地を救っただけでなく、スタメン出場したゲームを全勝に導き、チーム7連勝の原動力となった。
その大活躍ぶりは2/6~2/12の週間MVPに選出され、全米は“Lin-Sanity”(リンの名前とInsanity(尋常じゃない!)という造語に席巻され、社会現象となったのだ。
⇒【後編】へ続く https://nikkan-spa.jp/241085
NBAの常識を破った高学歴アジア系選手の凄さとは?
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<取材・文/NANO編集部>
海外サッカーやメジャーリーグのみならず、自転車やテニス、はたまたマラソン大会まで、国内外のスポーツマーケティングに幅広く精通しているクリエイティブ集団。「日刊SPA!」ではメジャー(MLB)・プロ野球(NPB)に関するコラム・速報記事を担当
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