空いた時間をカネにする技術【その18】
―[空いた時間をカネにする技術]―
自己実現できない本業より副業から黄金の果実を探せ
さて、ここまで数多くの副業を実践してきたが、果たしてこのように時間を切り売りするようなバイトを続けていてよいのだろうか。そんな疑問を解消すべく、『会社の外で月10万円! シッカリ稼ぐ副業・内職入門』の著者であり、自身もサラリーマン時代には副業で月40万円以上を稼いできたという中野貴利人氏に、どのような副業がオススメかを聞いた。
「副業やバイトはその人の状況によって選び方も変わってきます。まず今回、実践されていたアルバイトのような『時間労働型』は、働きやすく収入も確実ですが、社会人には体力的にも難しいし、簡単に時給が上がるとは考えにくいです。単なる小遣い稼ぎとして一時的にやるのはいいでしょうが、継続するのは難しいでしょう」
確かに、このままでは長続きしそうにない。そこで中野氏は「副業する意味を明確にせよ」と言う。
「副業も単に『カネを稼ぐ』だけでは意味がない。目の前の生活に困っているという状況を除けば、自分はどのような副業をすべきなのか、という目的を考えてみてください。例えば本業が充実している人ならば、本業に近い副業を選ぶほうが、一から知識を得る必要がないので効率的だし、スキルアップにも役立つ。反対に、自分の本業にやりがいがないと感じている人は、本業にはない楽しさがあったり、『いずれは本業にシフトしてもいい』と思える副業を選ぶべきです」
また、『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』の著者である作家の橘玲氏も、「まずは自分の立ち位置を認識せよ」と論じる。
「本業とされる仕事も今や2割のクリエイティブクラスと8割のマックジョブ(単純労働)に分かれています。クリエイティブクラスは、他人にはできない創造的で専門性の高い仕事をするので当然収入は高い。一方のマックジョブは、『手順さえ踏めば誰でもできる仕事』『上から言われたことを実行するだけの仕事』。失敗しても責任追及されない代わりに、収入も低い。もっとも『仕事のストレスが少ない』『時間の融通が利く』などのメリットがあるので、それを求めるのであれば問題ない。しかし、ほとんどの人は仕事で自己実現し、評価を得ることで幸福を感じるので、まずは、今の自分がどちらに位置するのか認識することが大事です」
マックジョブの中にも金脈は埋まっている
本業が充実しているサラリーマンは、当然、副業する必要はなく、本業なのに、マックジョブに甘んじている人こそ、副業すべきなのだ。そこで重要なのは、仕事の選び方だ。
「まずはフィードバックが得られる仕事を選ぶのも重要ですが、初めはマックジョブでもいい。ただそれを漫然とやるのではダメ。例えばテープ起こしのような単調なアルバイトでも、少し自分で実践してみた後、今度は自分で仕組みをつくり、事業主となる選択もある。それが本業へと発展するかもしれないんです」
なるほど。どんな仕事であれ、チャンスにするのは自分次第ということか。
「とにかくやってみなければ結果はわかりっこない。成功は偶然によって生み出されるものなんです。僕がよく言うのは『恐竜の尻尾の中に頭を探せ』ということ。例えば、頭の部分が勝ち組(ショートヘッド)とする。しかし、尻尾の部分に虫眼鏡を当てると、その中にも勝ち組が存在するんです。つまり、一見、マックジョブのように見える単調な仕事(ロングテール)の中にも、自分のアイデア次第では、新たな市場を開拓する余地があるかもしれない。それが大きな成功じゃないにしても。副業は、その鉱脈となる市場を探して、正業に発展させるチャンスでもあるんです」
マイナーで退屈そうな仕事の中にも、実は試行錯誤をすれば”黄金の果実”なる金脈が埋もれているかも。先行者利益で大金を獲得するためにも、まずは身近なところから探ってみるべし。
【中野貴利人氏】
ネットピコ代表取締役。副業サイト「副業シッカリ入門」を運営。
自身の経験から多数の副業アドバイスを行う。
著書に『お金はないけど時間があるなら副業をはじめなさい!』など
【橘 玲氏】
作家。『マネーロンダリング』などの小説に加え、ビジネス本も多数執筆。
『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』
『「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計』など
取材・文・撮影/SPA!金欠軍団
撮影/岡崎隆生
イラスト/まるやまともや
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