中国共産党系出版社が萌え絵イラスト教本を出していた
スク水からむき出しの太ももに両手を滑らせ、頬を赤らめる少女――広州市内にある中国国営の“お堅い”大型書店「新華書店」の一角に、そんな萌え萌えな表紙の書籍が平積みされていた。「日本の萌え系漫画のパクリだろうか」そう思いながら手にとって見たのだが……。
本のタイトルは「初心者が学ぶ漫画の描き方/Q版素描技法編」。Q版とは中国語で、チビキャラとかSD(スーパーデフォルメ)といった意味。つまりこの書は、チビキャライラストの描き方を指南するテキストなのだ。
冒頭にはまず、5頭身から2頭身に至るまで、チビキャラ化していく過程が順を追って描かれていた。
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さらにページを進むと、日本の萌系マンガの特徴であるキラキラ目を始め、耳や鼻といった細部の描き方が事細かに解説されている。
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そして後半には、「うれしいときの笑顔」や「悲しいときの泣き顔」といった表情の作り方から「萌えるポーズ」の描き方までがレクチャーされており、初心者向けとうたいながら、かなり実践的な内容になっていた。
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裏表紙を見ると、同書は「素描技術総合編」「萌少女素描技法編」に続く3部作の第3部であるようだ。ちなみに出版社は、人民郵電出版社という中国工業情報化部が管轄するゴリゴリの共産党メディア。そんな”お堅い”出版社がこうした萌え萌えな”教科書”を出版し、さらにそれば国営書店で売られていることに、なんとなく意外な気がしてしまう……。
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日本が世界に誇る漫画やジャパニメーションも、その製作は中国をはじめとするアジア各国へアウトソーシング化が進んでおり、ほかの業界同様、産業の空洞化が懸念されている。日本の萌系漫画が中国でも人気を集めるなか、作り手になることを目指し、こうしたテキストを手に独学に励むクリエイターの卵たちの姿を想像すると微笑ましくもあるが、同時に脅威も感じられずにはいられないのだった。
【取材・文・写真/ドラゴンガジェット編集部】
ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州、ニューヨークを拠点に、最新の話題をお届けする。(http://www.dragon-gadget.com/)
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