アベクロ効果で「儲かる/恩恵を受けない」違法ビジネス【後編】
アベノミクスが目に見える形で日本経済に期待感を漂わせるなか、違法ビジネスの業界には早くも大量の資金が流入している。今回はより非合法の色合いが濃い分野を見ていこう。
⇒【前編】はこちら https://nikkan-spa.jp/436410
地下経済は思ったほど単純ではない。古くからある市場ほど、特殊な事情や相場感覚はアベノミクスでは崩れず、効果はピンポイントで波及しているという印象だ。
そのことを最も感じるのは、JK(女子高生)売春の相場だろう。都内の風俗店関係者は言う。
「未成年援デリについては、出会い系サイトの客擦れがひどくて、下火傾向のまま。会員制で未成年を斡旋してる売春クラブも東京近郊にいくつかありますが、会員数に変動はないそう。もともと、未成年というだけで一晩5万も10万も払う客は、それこそ趣味も食生活さえ切り詰めてるバカばっかりなんで、多少、景気が上向いても相場変動はないし、客も増えない。本格的に景気が上向いて一般の風俗店の料金も上がってきたら、それにつられるって程度でしょうね」
◆先見の明がある不良はTPPと韓国に注目
同様に、アベクロ効果が感じられないのは、不良の投資先として歴史の古い不動産競売の業界だ。
「確かにアベノミクスで不動産売買が活性化して、土地の公示価格も変動してきた。これまで塩漬けになっていた競売物件が新たに動き出すことが見込まれますが、既に競売マーケットは素人プレーヤーが多く参入したことで、かなりウマみのないシノギになりつつある。しかも占有でも落札でも、ヤクザに対する当局の監視が厳しくて、簡単には食い込めなくなっています。この壁は相当高い。どちらかといえば、今後アベノミクスの結果として住宅ローンの金利上昇がありますから、そこで競売物件がグンと増えた段階でどう動くかを不良は考えているはず」(都内の競売ブローカー)
以上のように、各所に聞き込みした結果、地下経済はオモテの経済の鏡像のように思えてくる。ある暴力団関係者は言う。
「結局、安倍政権でワッと盛り上がっているのは、ある程度資産を持ってる人間、企業の経営者や幹部、投資家だよね。一般人は舞い上がってるけど、好景気が自分たちのところにくる前に、終わっちゃうんじゃない?」
だからこそ不良も、もともと、カネのあるところからどう効率よく切り取るか、どう食い込むかに腐心しているのだ。
「’80年代のバブルほどの規模にならないことは不良もわかってる。本当に先見の明のある不良は、国内はもう見限ってて、TPPで海外に日本の食品を持っていくルートを開拓したり、円安の反動で連鎖倒産が起こりそうな韓国を狙って動き出している」
果たして最終的に勝ち抜けるのは、どの業種なのだろうか。
― アベクロ効果で[地下経済30兆円]の大復活【5】 ―
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