「宇宙ラーメンの店主とはわかりあえなかった」渋谷直角氏
―[俺流『孤独のグルメ』珠玉の32品]―
ドラマ版Season3も大好評で終了、DVDの発売も決定している『孤独のグルメ』。週刊SPA!にて不定期連載中の人気マンガ(原作/久住昌之・作画/谷口ジロー)が原作となっているのだが、この作品、男が一人、飯を喰うだけ。ただそれだけなのに、なぜ心を奪われるのか。そして、一人で食べる食事の哲学とはいったいどこにあるのか。各々が持つ『孤独のグルメ』を熱く語る!
◆初見のお店に一人で入るとだいたい変なことが起こります
「どの店に入ろうか、悩んじゃってウロウロしちゃうことって僕も結構あります」と五郎に共感したのはライターや漫画家として活躍する渋谷直角氏。『孤独のグルメ』だけでなく、同じく久住昌之氏が原作を手掛けた『夜行』の主人公にも「共感してしまう」と語る。
「主人公は、夜行列車のなかで弁当を食べているんですが、鯖に裏切られて(笑)、ご飯とおかずをバランスよく食べられないんです。僕も彼といっしょで、なぜかご飯かおかずが残っちゃうんですよ」
“鯖に裏切られて”とは、メインのおかずの塩鯖がしょっぱすぎたせいで、ご飯とおかずをバランスよく食べられなかったということを指すが、渋谷氏はおかずだけでなく、「店員に裏切られることが多い」とも。
「初めて入った店では、ほぼ必ずと言っていいほど、注文したメニューを忘れられちゃうんです。だから放置されるリスクの高い、比較的大きめのお店は、まず避けるようにしています(笑)」
そんな体質のせいもあってか、自身の“孤独のグルメ”にも苦いエピソードを事欠かない渋谷氏。
「思い出に残っているのは、宇宙人にコラーゲンラーメンのレシピを教えてもらったと言い張る五本木のラーメン屋。店主とは、1時間ほどその宇宙について喋りましたが、結局全然わかりあえないままでした……」
【渋谷直角氏】
ライター、漫画家。『食べようび』、『Hanako FOR MEN』などで執筆。近著『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』(扶桑社刊)が、発売即重版するなど大きな話題を集める
― 俺流『孤独のグルメ』【4】 ―
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