零戦購入!?富裕層に持ち込まれるトンデモ投資案件
「お金に働いてもらう」
「お金がお金を生む」
とはしばしば耳にする言葉。自分が汗水たらすのではなく、手持ちの現金を投資してリターンを得るという発想だ。
こうした謳い文句で、世の中には様々な投資案件が存在するわけだが、その“元手”をたくさん持っている富裕層ともなると、日々、数千万から時には億を超える投資案件が持ち込まれるのだという。
「ただ、その内容があまりにいかがわしい。いい話はほとんどないですね」
そう嘆くのは、複数の企業を経営する山本真也氏(仮名)。彼のもとには多方面から投資案件が持ち込まれるそうなのだが、玉石混交どころか眉唾ものばかりなのだという。
そこで山本氏に、彼の周りで持ち込まれた“トンデモ投資話”を挙げてもらった。以下はトップ5である。
【1位】競合はジブリ!? 零戦購入話
「話を持ってきた自称・実業家が言うには、零戦って今世界に数機しか現存してなくて、海外在住の資産家が保有しているのは実際飛ぶくらいコンディションがいいと。その実業家がゼロ戦をバックに写ってる写真を見せられて、『宮崎駿も、香港の投資家も欲しがっている。転売益も見込める』とか言われて。まあ、『風立ちぬ』にあやかったんでしょう(笑)。
値段は仕入れが8億で、10億円以上で売れる先を一緒に探そうみたいな話。最初は面白そうな話だったから、自分は買わないにしても興味ある人を紹介しようかな、と思ったのですが、よくよく調べたら零戦つってもレプリカ。純正とはほど遠い。あと、そもそも戦闘機なんで、国内に持ち込めない。調べていくうちに、自称・実業家が過去に詐欺で逮捕されてることを知って、慌ててとりやめました」(山本氏、以下同)
【2位】リクルート株上場を謳った未公開株の譲渡話
「リクルートがそろそろ上場するかも!? という話は東洋経済などの記事に出てたので興味を持っていたのですが、『知り合いが数万株持っていて、ついては1万株を買わないか? 上場間近だし、大儲けできるぞ』と持ちかけられました。金額は忘れたけど、具体的な値段も指定されましたね。
ただ、『山本さんにしか話していない』とか、『弁護士同席のもと、やりとりするから安心してくれ』とか、営業トークがいかにも怪しかったので、そんなに優良株なら上場してから市場で売ればいいじゃん、と一蹴しました」
【3位】大使館系カジノへの出資話
「治外法権だから絶対捕まらない。月に億単位のあがりが期待できるって触れ込みで、カジノ経営を持ちかけられました。アフリカだったかな、聞いたこともないような国の大使館の敷地内の一部を間借りして、バカラテーブルを2台設置して堂々と営業できると。その権利が2000万。たしかに都内には大使館系のカジノがあるけど、そんなオイシイ賭場を開く権利は本来、ヤクザ屋さんのものでしょう。僕みたいな素人が手をだしちゃいけない、と思い、即却下しました」
【4位】一口300万、月利8%の自称FXの達人に出資話
「これは騙された人、結構いましたね。持ちかけてきたのは零戦と一緒なんですが、そいつが自前で組んだチャート見せられて、雇用統計の日に呼ばれて行くと、目の前で実際に勝ってるデモンストレーションまでされて。自分は達人だって刷り込んでくるわけです。
僕の周りだけで3人、合計1000万円くらいそいつに渡しちゃったんだけど、金を渡したが最後、運用すらせずにばっくれてますね。あとで聞いたら、そもそもそいつ自分で口座すら開けないブラック野郎で。一口300万で月利8%、税引き後6.4%って話なんだけど、なぜかパソコン代として15万も請求されたり、いちいちセコかった。しょーもないっすね」
【5位】王室コネクションを使ったタイ鉱山への出資話
「タイの王室に特別なコネがあって、レアメタルだか金がとれますと。僕が受けた条件は、一口300万、月利2%でしたね。紹介者に手数料が入るアフェリエイト的な仕組みだったから、もっと高い利率を提示されてる人もいると思う。知り合いが300万だしちゃって、今のところは毎月配当出てるみたいですが、まぁ遅かれ早かれ……でしょうね」
<取材・文/日刊SPA!取材班> ハッシュタグ