100万円突っ込んだ「怪しい仮想通貨」は3年経ってどうなった?バブル到来で“まさかの金額”に
『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ『中間管理録トネガワ』の作者であるハッシー橋本が、漫画で稼いだカネで“怪しい投資”に挑む実録マンガ。一般の人が手を出しにくい投資を攻略して“億り人”になることはできるのか——。
「俺の100万円を返せバカヤロー!」
数年前、心の中で何度も叫んだ言葉です。いや、今でも叫びたい。仮想通貨バブルの絶頂期、俺はある怪しげなコインのマイニング権利に100万円をつぎ込んでしまいまして……。その100万円、まるで炎の中に放り込んだかのように、跡形もなく消えました。
当時の俺の感覚では、その100万円は「10万円くらい」の軽いものでした。もちろん、これは仮想通貨の話であって、日本円としての100万円の価値をきちんと認識していたかというと……いや、全然していませんでしたね。むしろ「遊び感覚」で投入したのが間違いの始まり。調子に乗っていたんです。
だからこそ、あの時の自分に言いたい。「恥を知れ!絶対後悔するからな!」と。実際、後悔していますし、あの時のことを思い出すたび、胸の奥がジリジリと焼けるような気分になります。
そんな「封印したい仮想通貨」が俺にはいくつかあります。思い出すのも嫌になるようなコインたちですが、今は新たなバブルが来ている予感がするので、見なかったフリをしてきたあのコインたちを開けるタイミングかもしれません。そう、「今開けないでいつ開ける?」というノリです。
ただし、今回のバブルはまだ本格化していない気がします。俺の中でのバブルの見極めポイントは「自分が調子に乗り出したら天井」というもの。だからこそ、今は謙虚に、謙虚に。周りには「全然儲かってません」という顔をして生活しています。仮想通貨の世界は、ある意味「顔」で勝負するものですから。
考えてみれば、ダンスだって顔で踊るし、ギターも顔で弾くものだと言いますよね。それと同じように、仮想通貨も「損ばっかりしてます」という表情でやるべきなんです。人に羨ましがられると、変な噂が立つのもこの界隈の特徴ですし。
でも、そんな顔をしていても内心では思います。「次こそは、このバブルでリベンジしてやる」と。100万円を失ったあの苦い記憶が、次の一手を慎重にさせてくれるはずです。少なくとも、また「怪しいマイニング権利」に手を出すことはないでしょう。
仮想通貨の世界は、甘くも辛くもあります。でも、だからこそ面白いのかもしれません。「この波にどう乗るか」それが今の俺の課題です。バブルが終わる頃、俺は笑顔で「今度は勝った!」と叫べるのか、それともまた「俺の100万円を返せバカヤロー!」と言う羽目になるのか——。
いずれにせよ、顔には出さずに冷静にやっていこうと思います。
漫画・文/ハッシー橋本愛知県出身の漫画家。パチンコ・パチスロ漫画を中心に活躍し、‘15年より月刊ヤングマガジンで連載を始めた『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ『中間管理録トネガワ』が大ヒット。サウナとビールの愉悦を描いた『極上!サウナめし』はサウナ好き必見の一冊 Twitter @hashimotosan84




百七十五話 塩漬
バブルは「自分が調子に乗り出したら天井」?
「この波にどう乗るか」が課題
この連載の前回記事
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