音楽界には古墳好きが多い!? 広がる古墳愛好者の裾野
―[[古墳ブーム元年]大検証]―
箸墓古墳の研究者立ち入り、百舌鳥古墳群の世界遺産登録と、何かと話題の多い古墳業界。そして8月に行われた“最初で最後”の「キトラ古墳」石室一般公開に愛好者たちが殺到。新たな古墳愛好者たちの実像に迫る。
◆古墳愛好者の裾野が思い切り広がっている!?
考古学的な興味以外のアプローチから、古墳を愛でる人が増えている。
「遙かなる石舞台」「さきたまの悲劇」など、古墳への愛情を歌い上げる古墳ブルースシンガーのまりこふんさんは、日常のあらゆるものが古墳に見えてしまうという。
「古墳愛好者の間で流行っているのが『古墳空目』。あっこれも前方後円墳、これは上円下方墳だよね~など、日常生活で古墳に見えてしょうがない画像をアップしています。『古墳空目』をキーワードに検索するといろいろ出てきます」
まりこふんさんは考古学的な興味よりも、「とにかく形がカワイイ」ところに惹かれているという。
「いちばん好きな古墳は熊本県山鹿市にあるオブサン古墳。『突堤』というんですが、円墳の入り口の両側に突き出した部分があって、スフィンクスみたいな形をしているんです。あとは卑弥呼の墓といわれている箸墓古墳(奈良県桜井市)。とにかく上から見た“鍵穴”の形が完璧で、きれいなくびれのラインに沿って歩くことができます」
まりこふんさんは古墳の楽しさを広める団体「古墳にコーフン協会」の会長も務める。同団体では「古墳浴」というのを提唱している。
「古墳は古代から人が住んでいた場所だけあって、環境のいいところにあります。緑も多いし、空気もきれい。そんな場所で古代の香りと古代の音を聞くと、本当に癒やされますよ。
それから、協会では『ノラ古墳』って呼んでいるんですが、公園の中とか神社の裏とか、けっこう身近なところに無名の古墳がたくさんあります。現在確認されている古墳は全国で16万基。きっと近くにもありますから、自分だけのお気に入り古墳を見つけてみてはいかがでしょうか」(まりこふんさん)
自ら古墳グッズを作ってしまう例も。立花優子さん(32歳・東京都)が古墳にハマり始めたのは今年の5月と、最近のこと。古墳に思い切りハマってしまい、「古墳マグネット」を作るようになった。
「もともとの始まりは、コフィーちゃんです(アニメ『古墳GALコフィー』)。で、近所の古墳に行ったらゾクゾクッと……。それからは自宅とか職場とか、あらゆる場所に古墳っぽいものを貼りたくなりました。視界に古墳が入ってると、安らぐんですよ」
まずは「前方後円墳マグネット」を作り、円墳、六角墳、帆立貝式古墳などメジャーな型の古墳12種を作成。銀製のキーホルダーやネックレスなども製作している。
「古墳はお墓ですけど、私の中では“生きてる”って感覚なんです。死んでらっしゃるけど古墳は生きている、みたいな」
また、現在はマグネットの他にキーホルダーやネックレスとして活用できる「古墳シルバー」も製作している。
⇒【写真】「古墳マグネット」はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=503723
音楽界にも古墳好きの輪は広がっている。
「子供の頃から家の近くに天皇陵や古墳群があって、“古墳育ち”なんですよ」と語るのは、ウルフルズのリーダーで「古墳にコーフン協会」名誉会員のウルフルケイスケさん。同協会は、古墳をカジュアルに楽しむ方法を広めるために設立された団体だ。
「あるとき、徳島のお好み焼き屋で知らんオッチャンと盛り上がったら、店の裏にある古墳に案内されて。そのオッチャン“見える”らしくて『数千年前、貴方はここにおった』って。昔、古墳で雅楽の笛を吹いてたって(笑)。僕は学術的なことより古墳の形自体が『カッコイイ!』って思うよね。装飾古墳って、サイケデリックでエエなぁ~って」
奈良県桜井市出身で、東京カルチャーカルチャーなどで「古墳にコーフンナイト」などのイベントを開催するプロデューサーのテリー植田氏はこう語る。
「音楽界には古墳好きが多いですよ。エレカシの宮本さんとかね。想像の部分が大きな古代史の世界と、楽曲創作の世界とリンクする部分があるのでしょうか」
古墳愛好者の波は、考古学的な関心を超えて広がっているのだ。
●古墳にコーフン協会 http://kofun.jp/
― [古墳ブーム元年]大検証【2】 ― ハッシュタグ