「エロかっこいい」「○○ガール」は既に死語
―[「それ死語ですよ」の境界線]―
率先して「○○女子」というワードを使っていた女性誌『an・an』が、突如「女子卒業宣言」をして話題に。時勢に合わせて新しく生まれ、もてはやされ、やがて消えてゆくワードの死語境界線を探った。今回は、20~30代の男女200人にアンケートを取り、死語か否か判定してもらい、半数以上が「死語だと思う」としたものはアウト、40%台をボーダーとしてみた。
<日常用語編>社会現象化系
露出度の高い衣装とセクシーなダンスで世間の注目を集めた倖田來未は、’04年あたりに「エロかっこいい」と称されたが、65.5%ともはや死語。そこから派生して、優木まおみや眞鍋かをりなどが「エロかしこい」などともてはやされていたが、いつの間にか聞かなくなった。動詞では、元モー娘。の矢口真里が起こした間男騒動にちなんで、彼氏や夫に浮気現場を目撃されるという意味で使われる「ヤグる」は、つい最近の事件にもかかわらず、すでに45%とイタい言葉になりつつある。
ほかに、過半数が死語認定したのは、「○○王子」(55%)。当時一世を風靡したハンカチ王子の斎藤佑樹やハニカミ王子の石川遼がその例だ。本人の活躍ぶりに比例して、という感じか?
また森にいる妖精をイメージしたふんわりファッションの森ガールや、登山用の服装をする山ガールなど、「○○ガール」(53%)も廃れつつある感が否めない。
ボーダーラインに近い「ちょい不良オヤジ」(51.5%・雑誌『LEON』が提唱した、不良っぽい中年男性のファッション)と「美魔女」(47%)については、「大人になってもおしゃれしていいんだって思えるし、残ってほしい言葉」(20代・女性)という意見もあったが、なぜか20代男性からの不支持ポイントがもっとも高い。女性のほうが「美魔女」という言葉にしがみつきたい心理が?
また、「○○男子」(44.5%)、「○○女子」(40.5%)もそろそろ怪しい感じ。ある特定の集団を表したもの「佐川男子」「弁当男子」「大人女子」「文化系女子」「腐女子」「おひとりさま女子」「婚活女子」……と、最近でも多くの言葉が派生し続けている。
男女の恋愛観を表した「草食男子」「肉食女子」という言葉からは「ベーコンアスパラ男子」「ロールキャベツ男子」「クーガー女子」などが誕生した。言い得て妙という気もするのだが、細分化されすぎてメジャーになり損ねた感がある。
そして、アンケートではセーフゾーンの「オレオレ詐欺」(24%)。定着した感のある言葉だが、実は警察では新しい言葉に移行させていて、出会い系サイトの架空請求など、類似詐欺が出てきてから、’04年に警察庁で「振り込め詐欺」に、その後、警視庁が公募を行い、今年5月に「母さん助けて詐欺」へと名称変更した。ネット上では「イマイチ……」との声も多く、一時の流行で終わらずに定番となっていく言葉は、ゴロのよさなのかもしれない。’90年代後半に登場した「カリスマ店員」や「カリスマ美容師」など、特別な素質を表す「カリスマ」(30%)も、音の良さやほかに表す言葉が見当たらないことから、定着したのではないだろうか。
◆ごく直近系
最近でいえば、してやったりな顔つきを表す「どや顔」(30.5%)は、新定着語になっていきそうだ。「どうだ」を意味する関西の方言
「どや」から出た言葉で、松本人志がテレビ番組で多用していたことから広まったといわれているが、語源は定かではない。「まさにって感じで、ほかに言いようがない!」(20代・女性)という意見もあった。
「キラキラネーム」(31.5%)といえば、今年6月に元オセロの松嶋が「空詩(らら)」と一般的にはまったく読めそうにない名前を長女につけたことでも話題になった。こうした名前を持つ人間がいる限り、使われていくだろう。
身内では“バリバリ”使っていてOKでも、人によってはNGという日常用語も数多くある。日常用語だからこそ、“今でしょ!”とばかりに“ナウい”と思い込んでついうっかり口にしてしまうと、人によっては“ドン引き”される可能性も。くれぐれも扱い要注意。
<死語の境界線>
※20代・30代の男女100人ずつ合計200人を対象にネット調査。数値は%を示す
【アウト】
エロかっこいい:65.5
○○王子:55
○○ガール:53
ちょい不良(ワル)オヤジ:51.5
【ボーダー】
美魔女:47
ヤグる:45
○○男子:44.5
○○女子:40.5
【セーフ】
キラキラネーム:31.5
どや顔:30.5
カリスマ○○:30
オレオレ詐欺:24
イラスト/ミラクル沼尾
― 「それ死語ですよ」の境界線【3】 ― ハッシュタグ