なぜこんなにも「育児問題」は炎上するのか?
育児問題について、激しい論争が繰り返され「炎上」するのはなぜか? 育児をテーマにした週刊SPA!連載漫画「いくもん!」作者・中村珍氏とともに考察してみた
◆SNS編
育児問題はとかく“炎上”しやすいトピックの一つである。子育て経験者、未経験者が互いに「知ったような口を利くな!」と罵り合う様子が繰り返され、昨今もホリエモンが「うるさい子供には睡眠薬を飲ませればよい」という趣旨の発言をして論争が巻き起こったばかり。そこで、育児経験のない20~30代男女を対象に「育児問題で目にする不快な事象」をテーマにアンケートを行った。
まずSNS編において炎上指数トップになったのは「とにかく(子育ての)愚痴が多い」。「自分のやったことの責任は被れ」(39歳♀)、「気持ちはわかるが落としどころがない」(38歳♂)など、やはり愚痴は目にして気持ちのいいものではない様子。
「ストレス発散してちゃんと育児できるならいい」(37歳♀、ほか多数)など、理解を示す声も少なくないが、「子供がいない人にはわからないだろうけど」といった、子育て未経験者を挑発する主張は多くの人の逆鱗に触れるようだ。
「わからないのは当たり前」(27歳♀)、「子供がいなくても育児についてわかることもある」(39歳♂、ほか多数)。怒りのあまり「こういう人間が戦争を引き起こす」(34歳♂)という声も……。同じく、育児と仕事を単純比較することについても炎上度高し。
「明らかに育児のほうが仕事よりラク」(35歳♂)、「そのぶんのツケは誰が払っているんだ」(39歳♂)など、コメント数では最多であった。
「実際、育児のほうが大変だし大切」と(36歳♀)と擁護する声もあるが……「比べられるものではない」(29歳♀)と相互理解に努めたいものだ。
賛否両論だったのは「仕事や育児、女磨きの両立アピール」する母親。「自己満足」(31歳♂)と切り捨てる一方、「立派」(34歳♂)、「すごいことなので自慢してもよい」(30歳♀)と好意的な声も少なくなく、注目度の高いトピックであることが窺えた。「でも20代独身女性には勝てないよね」(31歳♀)と言われてしまうと元も子もないが……。
一方、SNSで自分流育児論を垂れ流す「イクメン」には嘲笑が殺到。「痛い」(28歳♀)、「語るほど育児がしっかりできているのか疑問」(39歳♂)とする一方、「他人の論理は読んでいて面白い」(37歳♂)と肯定する声も少しはあった。
【SNSでの不快事象】
※数字は20~30代の育児未経験者男女200人が、共感度に沿って1~5点のポイント制で投票した炎上指数
・1位 とにかく愚痴が多い:123
・2位「子供がいない人にはわからないだろうけど」という前置きをつけて超主観論を展開:118
・3位「育児の大変さに比べたら仕事の大変さなんて小さいもの」と、育児のほうが大変アピール:116
・3位「働くママのための××講座」みたいな有料イベントを主催:116
・育児と仕事、女磨きを両立アピールする女たち:114
・「今日はばあばに○○ちゃんを預かってもらってひさしぶりの美容院&ネイル」と自撮り写真をアップ:109
・「ばあば」「じいじ」など、赤ん坊目線の呼び名を使う:109
・どうでもいい育児論、日々の喜びや反省を逐一投稿するイクメン:108
・「育児は『PS Vita』より難しいゲームだ」などと意味不明で自己陶酔的な育児日記を掲載:107
・長男のときはもっとかまっていたのに次男の写真は少なくて、親としてこれではいけないと反省:106
・「育児は育自」など、使い古された言い回しなのに自分が発明した言葉のように投稿:102
・bokete状態で、喋れもしない赤ん坊の写真に妄想の台詞をつけてアップ:102
・育児で気づいたことは仕事にもフィードバックできるみたいな持論を展開:100
★中村珍氏の寸評
イクメンの育児論は、「いいね!」待ちしてるんだなと思ってみれば楽しい(笑)。仕事より育児のほうが大変……どうして白黒つけたがるんでしょうね? イベントは、勉強会という形で、仲間同士拠り所にできるなら何より。
【中村 珍氏】
28歳。イラストレーター、漫画家、ライター、ストーリー制作の講師など。週刊SPA!連載漫画『いくもん!』のようなルポ漫画のほか、フィクションやエッセイなども執筆。3月23日(日)に中村珍・単行本3冊連続刊行記念「ナカムラ春のチン祭り!」を開催
イラスト/中村 珍
― なぜこんなにも[育児が炎上]するのか?【1】 ―
『いくもん!』 中村珍が「カヤの外から」問答し、舌鋒鋭く斬り込む |
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