会社員の6割「職場で貧乏くじを引かされている」
「俺は正当に評価されていない!」なんて青くさい叫びだが、今や40代こそ、こうした不満が溜りやすいという。では、正当な評価とは何なのか? 全国の37~49歳正社員111人にアンケート調査、会社からの評価に対する不満と実態に迫った
◆評価されづらい立場・場所にいるので割を食っている
これらは貧乏くじタイプと言えるかもしれない。成果が見えにくいという不満は、特に経理や総務の人から出やすいようだ。
「部署の業務がメンテナンスや管理なので、これといった成果を見せようがない」(44歳・技術系)
こんな声に企業向け研修で講師を務める濱田秀彦氏がアドバイス。
「経理などでも成果は示せますよ。例えば、間接的に営業部門に貢献していることを数字で示せばいいのです。これまで営業マンが3時間かけていた書類作成を1時間に短縮できるようにしたら、それが営業マンの人数分の時間減に繋がりますよね。そこからコスト換算することも可能でしょう」
ほか、日々の雑務が多すぎて、デカい仕事がもらえないという声も。「とにかく部下や同僚のフォローの連続で何でも屋状態。そのうえ感謝もされない」(41歳・技術系)。
「いたしかたない部分もあるものの、総じて受け身になってしまっていますね。与えられた環境、振られた仕事。これらをこなすだけだと、評価は『あいつは40代であれだから、今後もこのままだろう』となってしまいます。そして、そういう人には雑務が回されがちです。受け身のループにハマってしまうんですね。評価を上げるには、自分から仕掛けて、業務を提案していく必要があります」(濱田氏)
具体的にはどのように提案すればいいのだろうか。
「自分の使い方を提案していくのです。例えば、『私に××のプロジェクトをやらせてもらえれば、○○な手を打って、会社の利益をこれだけ出せます。その証拠に、こんな実績があります』といった具合に。当然、すぐに実現しなかったり、潰されてしまうこともあります。でも、その意欲は印象に残ります。その積み重ねは結構大きいですよ」(同)
それが希望部署への異動などへ繋がるかもしれない。
「大きな展望も大事ですが、まずは小さなことでやってみるのが肝心です。たとえば来期の目標を立てる時期に、目標を3つ設定するなら、2つはやらされ仕事でも、1つは自分の望む仕事をしましょう」(同)
なお、部下が使えないばかりに評価が上がらないという嘆きには、濱田氏から異論が出た。
「配属された部下で結果を出すのが上司の仕事ですからね。どうしても新しい部下が欲しければ、他部署で腐っているけれども実力はある部下をリサーチしておいて、自分の部署の部下とトレードするとよいでしょう。私の経験上、人員を入れ替えずに業績をアップさせるのが高評価に繋がるという側面もある。一発逆転を狙える立場にいると捉えることもできますよ」
1年後、2年後のためにやれることはいろいろありそうだ。
【処方箋】
自ら仕掛けていくことで受け身のループを脱せよ
<会社からの評価に対する不満と実態>
※全国の37~49歳正社員111人にアンケート調査(%はYesの割合)
●貧乏くじを引かされている
・そもそも結果を出すのが難しい仕事を与えておいて、評価を低くつけるのはないだろう:60%
●評価されづらい場所・立場にいるので評価が低い
・「なんでも屋」になっていて、「できて当たり前」と思われている:58%
・自分の能力がもっと生かせる仕事を与えてもらっていない:52%
・モチベーションが上がらない仕事しか任されない:39%
・異動させてもらえずチャンスが狭まっている:36%
・業務性質上、数値的な成果が見えにくい部門にいるので実力を評価されづらい:59%
・仕事量が膨大で、新しいチャレンジができず正当に評価されていない:40%
・もっと仕事をしたいという気持ちがあるのに、残業が認められないので評価されない:24%
●部下・後輩に恵まれていない
・部下や後輩がダメなばかりに自分まで評価されない:21%
【濱田秀彦氏】
ヒューマンテック代表取締役。マネジメント研修講師。近著に、『あなたが部下から求められているシリアスな50のこと』(実務教育出版)がある
イラスト/佐藤ワカナ
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