『社会の歯車になれ』 働く大人のオリジナル座右の銘
―[オレだけの[座右の銘]大事典]―
近頃やたら目につく名言本。この混迷の時代、やはり指針となる言葉が必要とされているのか。そこで、著名人から一般人まで、自らの経験に学んだり先輩から受け継いだ「自分だけの座右の銘」を集めてみた。仕事、恋愛、人間関係など、いろんな場面で役に立つはず!
◆[仕事]編
厳しいビジネスの世界では、やはり座右の銘は欠かせない。「自分の店を持つのが夢で、親には『身の丈に合った暮らしをしろ』と反対されたが押し切った。結果、成功して親への援助もできるように。それから『身の丈は越えるべし』という言葉を胸に刻むようになった」(36歳・男・飲食)、「『5割打てたら宇宙一』が座右の銘。うまくいかないこともあるけど、半分くらいは仕事をこなせていたり、結果を出せているはず。プロ野球なら5割の打率があれば、それこそ宇宙クラスのバッター。考えようでは悪くないという視点を変える意味も」とは超ポジティブ!
一方で「社会の歯車になれ」と言うのは、CM制作会社の24歳の男性。歯車ってあまりいいイメージがないが、そのココロは「歯車が一つでも狂えば、その機械(組織)がすべてダメになるので責任を持とうと思える。しかも大きな歯車になれば逆回転させるなど自分の力で機械の仕組みを変えることも可能」とか。さらに「逃げるときは全力」(35歳・男・IT)なんてのも。「ただ逃げろって意味ではなく、ギリギリまで粘れと。だからこそ撤退戦に転じたら相当な危機的状況だろうから、全力で逃げろ。そのときはちゃんと持つものは持って、本気で後始末しながら逃げろという意味」。“逃げるが勝ち”ってことわざもあるしね。
「“プライドを捨てる”プライドを持つ」(35歳・男・出版)も一見、後ろ向きなようでいて「大した実績もない人間のプライドなんて邪魔にしかならない。最初からやりたい仕事ばかり望んでもいきなりできるものではない。でも、プライドを捨てるプライドを持てる者は、やりたくない仕事でも全力で取り組めるから経験値も能力も上がり、最終的にやりたい仕事ができるようになる」と、プライドたっぷりに語ってます。
また、一般的に座右の銘になりそうな言葉を真っ向から否定した“オレ流”も。「『失敗は成功の母』なんてのは、うまくいったヤツの言葉。失敗を恐れず物事を進めたら、最悪の事態を招く危険も。大事なのはその失敗が成功につながるかどうかを見極める能力。すぐに方向転換することも必要」ってことで、39歳・銀行マンが掲げるのは「失敗は大失敗の父でもある」。
「『信じていれば夢は必ず叶う』と言う人間と、それを信じる人間を信じるな!」が座右の銘という製造業の35歳の男性。「『夢は必ず叶う』と発信する人は、すでに叶えた人間であり結果論でしかない。必ず叶うのなら野球少年はみんなイチローやマー君になれるということに。結果論をさも世界の真理かのようにのたまう人間と、その言葉を妄信する人間は信用するに値しない。夢を叶えたいのであれば、夢は叶わない可能性が高いことを自覚しつつ、努力し続ける精神力が必要」って、気持ちはわかるけど、それこそ夢がない~。
ほかには「座右の銘は『とりあえず15分』。自分は集中力が続かず、すぐにサボりたくなるので『とりあえず15分は黙って目の前の仕事に集中しよう』と何度も念じるようにしている」(29歳・男・PR)、「慎重を通り越してビビりな性格がゆえにチャンスを逃すことも多いので、行きすぎた用心は逆効果って意味で『石橋を叩いて壊すな』」(45歳・女・出版)と、短所を戒める言葉を挙げる人も。
その最たるものが「生まれてきてすみません」(23歳・男・銀行)。
「いつも自分のことをゴミクズと思って生きている。そうすれば仕事でミスをしても『自分はゴミクズだし、こんなもんだよな』と納得できるし、順調にいけば『ゴミクズのわりにはよくやった』と喜びが2倍になり、いいことずくめ」って、どんだけ自虐的なのか。本家の太宰さんも引くわっ!
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