更新日:2014年10月30日 09:58
スポーツ

【日本人メジャーリーガーの通信簿2014】不本意なシーズンとなるも話題を呼んだダルとマー君

’14年のMLBは青木宣親のロイヤルズが下馬評を覆し破竹の8連勝。ワールドシリーズまで勝ち上がった青木の評価は? 辛口NYメディアはマー君の1年目をどう論じた? イチローや黒田の去就は? SPA!が僭越ながら日本人全12選手の活躍を振り返り、評価する決定版! ◆不本意なシーズンとなるも話題を呼んだダルとマー君
ダルビッシュ有

MLB公式サイトより

 ダルビッシュ有は、夏場の故障により規定投球回に到達できない不本意なシーズンとなった。しかし3年連続のオールスター出場を果たし、5月のレッドソックス戦ではノーヒッターまであと1アウトと迫るなど、メジャートップクラスのスターターであることに異論を唱える者はいないだろう。 「特筆すべきは、3年間質の高いピッチングを続けたことで、メジャーにおいても発言権が出てきたことです」と指摘するのは、「MLB.jp」や『月刊スラッガー』でコラムを連載する内野宗治氏。オールスターの記者会見で「中4日は短すぎる」、「スプリッターは故障の原因ではない」という旨の発言は、日米球界で実績を残してきたダルビッシュだからこそ周囲が聞く耳を持ったのだという。 「特に登板間隔については米メディアの間でも議論を巻き起こしました。自身の成功だけでなく、球界の発展まで考えて『言いたいことは言う』のがダルビッシュのスタイル。日本のみならずメジャーの土俵でも認められたことで、日本時代のように、米球界への提言ができる立場になってきたと、本人も感じているのではないでしょうか」(内野氏)。
田中将大

MLB公式サイトより

 チャーター機でのNY入り、ももクロの登場曲など、すべてがunusual(普通やらない)で話題を呼んだメジャー1年目の田中将大。 「メジャーの登場曲といえば場内が一体となるヒット曲が多いなか、マー君は堂々とももクロの曲で登場しました。残念ながら一年目は球場全体が盛り上がることはなかったが、否定的な意見も聞かれなかった」と、メジャーリーグ報道に精通するライター兼翻訳者の松山ようこ氏は語る。大音量のももクロの曲で他を圧倒したマー君は、周囲が盛り上がりに欠けるなか、ひとり静かに闘志を燃やしていたのかもしれない。 「移籍当初、マー君の能力には現地メディアにも一部懐疑的な意見は上がっていたが、すぐに黙ったのはスプリットと変化球のコマンドに驚いたからでは。現地メディアはすぐに握りやフォームを詳しく報じる特集記事を組みました。力勝負が好きな本格派のファンも、スプリッターの奪三振劇にあっという間に酔いしれました」(松山氏)  11月には8年ぶりの日米野球も開催される。日本人選手市場の高評価は、来年も続くのか!? <日本人メジャーリーガーの通信簿~投手編~> 田中将大(ニューヨーク・ヤンキース/25歳) ◎大変良くできました 24勝無敗の日本記録を携え、メジャーへ移籍。負け知らずの好投で瞬く間にヤンキースのエース格に。敵選手は田中の好投を47勝無敗の最強ボクサー、フロイド・メイウェザーに例えたほど。7月の負傷離脱から9月終盤に復帰 ダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ/28歳) ○良くできました メジャーデビューから3年連続の2ケタ勝利、オールスター出場も、故障により終盤は登板せず。チームも故障者が続出し、地区最下位に沈んだ。7月には「(先発投手の)中4日は短い」と発言し、日米球界で話題となった 松坂大輔(ニューヨーク・メッツ/34歳) △来季に期待します メッツのマイナー契約から這い上がり、昇格した4月以降、先発で9試合、中継ぎで25試合とフル回転した。単年契約が満了を迎え、日米数球団による争奪戦も予想される。プロ16年目。まだまだ老け込む年ではない 藤川球児(シカゴ・カブス/34歳) △来季に期待します 昨年6月の手術から再起をかけたリハビリに励み、8月に見事復活。カブスでは先発・和田のあとを受け、日本人リレーも実現させた。来季の去就に注目が集まる選手のひとり <僭越ながらSPA!が贈る三賞> 【殊勲賞】田中将大(ヤンキース) 開幕から16戦連続のクオリティスタート(QS=6回を自責点3以内)で、辛口ニューヨークメディアを黙らせた。ももクロのBGMを世界レベルに引き上げるべく、2年目の来季も期待大! 【敢闘賞】ダルビッシュ有(レンジャーズ) 前半戦だけで8勝を挙げ、3年連続オールスター選出はさすがのひと言。野茂英雄氏以来となるデビューから3年連続2ケタ勝利を達成。発言力も増し、日米球界に多大なる影響を与えている点も評価 【技能賞】青木宣親(ロイヤルズ) 2番ライトでプレーオフも全試合スタメン。日本人12人目のワールドシリーズ出場を果たした。「’14年に頂点へ」の長期計画のもと、GMに見初められたラストピースとして見事に機能している点を評価 取材・文/小島克典(スポーツカルチャー研究所/ゆるすぽweb編集長) イラスト/岡田航也 ― 日本人メジャーリーガーの通信簿2014年版【3】 ―
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