英語上達は、無料コンテンツやSNSでできる。高価な教材は不要
仕事で英語を使わないアラフォーの多くにとって、最後にまともに英語に触れたのは20年以上前のこと。今、心新たにチャレンジするにあたって、勉強法に対する古びた“常識”をアップデートしておく必要がある。
「英語を勉強する人の最終的な目標は“話す”ことにあると思いますが、アウトプットのためにはインプットが必要であって、話すためにはどんどん英語を聞かなくてはならない。この20年でもっとも大きく変わったのは、インプットのためのコンテンツの種類と数でしょう。かつては英語雑誌の付録CDやラジオ英会話講座などに頼っていたのが、今や通勤時間にスマホで見られる手軽なコンテンツがいくらでもある。これらは大いに活用すべきです」と話すのは、英文誌の編集に長年携わってきた出版プロデューサーの伊東裕子氏。
マジメな人ほど「お金をかけてきちんとした“教材”を揃えなくては」などと考えがちだが、ネットの無料コンテンツでも英語をインプットするには十分だ。
「結局、英語をマスターできるかどうかは、英語に接する“頻度”にかかっているので、毎日聞くのが苦にならないかどうかが最大のポイント。だからこそ、映画やドラマを英語で楽しんだり、自分の興味のある情報を英語で集めたりといった“英語以外にも得るものがある”コンテンツに出合うことが大事なんです。“英語だけ”のコンテンツは、残念ながら飽きちゃうんですよね……」
仕事で英語が要求される場合は、問答無用でTOEICなどの対策などをしなくてはならないが、そうでない「ズボラ英語派」の場合、自分の好きなコンテンツを使って “回り道”することが許される分、実は伸びしろが期待できる――と伊東氏は言う。
一方で、肝に銘じるべきは「万人向けのコンテンツは存在しない」ということ。
「繰り返しになりますが“挫折しないで続けること”が一番大事なので、いかに素晴らしいと言われているコンテンツでも自分の手に負えないと思ったら、さっさと他に移って正解。苦行に耐える必要はありません」
インプットが蓄積されてきたら、いよいよアウトプットに挑戦したいところだが、オススメの“道場”はどこに……?
「『英語を話さなくてはいけない』状況に自分を追い込むことが重要なので、英会話サークル的なユルい活動より、マンツーマンのスカイプ英会話などのほうがオススメですが、サービスが玉石混交で選びにくいのが実情。英会話スクールは、インプットのない状態で漫然と通っていても学習効果は薄いのですが、アウトプットの場として活用するのはアリでしょう」
残念ながら、アウトプットの場は依然として限られているようだ。
「ただし、話すだけでなく“書く”のも立派なアウトプット。好きな海外タレントのSNSや、インスタグラムなどのお気に入りユーザーにメッセージやコメントを寄せるのは、とても有効なトレーニングです。書き込むのはタダですし、多少ヘンな文章を書いても恥をかくわけじゃないので、果敢にトライしてほしいですね。書こうとして難しいなと思った部分をメモしておき、辞書で調べ直したりするだけでもすごく力がつきますよ」
完璧を目指さず、ほどほどに頑張るのが正解だ!
●「ズボラ英語」の真髄 これは「しなくてもいい!」リスト
・教材にお金をかけない
・文法にこだわりすぎない
・まとまった学習時間を取らない(スキマ時間で毎日続けるのが大事!)
・いきなり「スピーキング」を目指さない
・ネイティブと話すことにこだわらない
【伊東裕子氏】
出版プロデューサー。英文誌『English Zone』編集長などを経て、株式会社グローパルを設立。NEC「Wisdom」ほかで英語の連載を持つ
― 人生楽勝になる[ズボラ英語]勉強法 ―
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