「デザイン=おしゃれ」ではない。初心者が陥る罠とは?
誰でも簡単にお金をかけず実践できるおしゃれの法則を導き出し、初の著書『最速でおしゃれに見せる方法』で惜しみなくその法則を披露したメンズファッションバイヤーのMB氏。お互いそのロジックにシンパシーを感じるという、『いつもの服をそのまま着ているだけなのになぜたかおしゃれに見える』の著者で女性スタイリストの山本あきこ氏と対談。第2回目は「おしゃれ」だけでなく女性目線で「モテる服」にも着目しつつ、「捨てるべきアイテム」を2人に教えてもらった。
▼Tシャツ=ロゴTの人は危険!?
MB:Tシャツやスニーカーを集める男性って多いと思うのですが、これは「部分」にとらわれている証拠だと思うんです。Tシャツってひとつのデザインとして完結しているから単体で見たときに「これカッコイイ!」となりやすい。派手なカラーリングのスニーカーも「やっぱりナイキは超カッコイイな~!」で、飾っとくみたいな(笑)。
山本:わかります。パーソナルスタイリングをする男性のお客さんでも、無地Tシャツを一枚も持ってない方が結構いるんです。Tシャツのほかにも、パーカーやシャツであってもちょっとデザインが入っているものを選びがちですよね。
MB:「デザイン=おしゃれ」っていう先入観がありますよね。ワッペンとか刺繍とか。
山本:ロゴがでーんと入っていたりして、「これを着こなすのは大変だ」っていうのが(笑)。
MB:デザインは入れば入るほどカジュアルになります。とくに、もともとカジュアルなアイテムは……山本さんの本でシンパシーを感じたのは、「鏡で全身を見て、全体の印象でとらえよう」というところなんです。男性はとくに、「部分」でファッションをとらえる人が多いんですよ。「この靴、超カッコイイ!」「このプリントT、カッコイイ!」といって全体を考えずに、単体のアイテムで判断して選んでしまう。単体のデザインがいくらカッコよくても、全身でみたときに「おしゃれに見える」とは限らない。前回お話しした、白シャツに入っているチェック柄とかもそうで、チェック柄もデザインで見ると「カッコイイ」のかもしれないけど、全体の印象はまた別問題で。
山本:男性はそういう思考ですよね。「何年もの」とか「素材」が好きだったり。
MB:「これはイタリア産の生地がどうのこうの」とか……。
山本:よく聞きますね(笑)。
▼ダボっとしたシルエットは老けて見える
MB:あとはダボっとしているのも着こなしが難しいですね。シルエットは基本的に細いもののほうが合わせやすい。シルエットだけじゃなくて、素材にも気をつけたほうがいいんです。ボアがなかにあったり、コットンでも肉厚でモコモコしてると、どうしても野暮ったく見えます。
山本:わかります。ちょっと大きめのブルゾンとかもですよね。コンパクトだったらいいんですけどサイジングをまちがっている方は多いです。
MB:ビッグサイズを狙ってやっているんじゃなくて、ただ大きい。
山本:サイズが合ってないと、ものすごく年齢が上に見えてしまいますよね。40代の方に多いかなあ。パーカーは、ダブルジップのものがあるじゃないですか。それで開き具合を調整したり、ラインを変えてみたり……女性なら普通にするんですけど。
MB:それが怖いっていう人がいるんですよ。「下も開けるって、俺すごい頑張ってるように見られるんじゃないか」とか。
山本:「頑張り感」が他人にバレるのが怖い?
MB:意外と男性は他人に無頓着ですよね。読者の方からメールで相談をいただくんですけど、それを読むと「全然大丈夫ですよ!」ってパターンが多い。「あなたは十分おしゃれですよ」って(笑)。「ストールはやりすぎなんじゃないか?」とか、「シャツのボタン二つ開けたらダメなんじゃないか?」とか。
山本:でも、ボタン2つ開けて失敗してる人もいることはいますよね。ネックレスが見えてやりすぎになっている人とか。
MB:確かに「やりすぎ」と「おしゃれ」の境目は慣れがいるかもしれませんね。迷ったら、シンプルでいきましょう。
▼巷にあふれるチェックシャツ、是か否か
山本:秋になってすごく多いですよね、チェックシャツ。女性には結構お勧めするんですけど、意外と難しいアイテムなんです。私も今日チェックシャツにブルーデニムですが、女子の場合は「絶対きれいめに着よう」って提案しています。チェックシャツ自体がドカジュアルなアイテムなので、ヒールやパールのネックレスを合わせたり、きれいめに着ると失敗しづらい。ただ着てしまうと野暮ったくなっちゃうので、アクセントとして腰に巻いたり、チラッとみせたりとか。
MB:男性も同じ考えだと思います。でも男性の場合は、派手な色は難しいですね。多色使いじゃなくて、白黒とか大人っぽい色なら大丈夫です。でもつい買ってしまうのは、赤も入ってるし黄色も入ってるし、緑も入ってるの!?みたいなシャツなんですよね……。
山本:確かに(笑)。
MB:白黒とか、もしくは起毛かけてフワッとした色にしてあったりとか、茶系の秋っぽい色なら全然使いやすいとは思う。ダメとは言いたくないですが、やっぱり使いにくいんですよね、カラフルなチェックシャツって。着こなす自信なければ、やめたほうがいいです。
山本:確かに。それに前回話したカーゴパンツ合わせたら、すごいことになりますね。「街着から山へ」になっちゃいますよね(笑)。
MB:話したように、ドレスなアイテムを入れてほしいです。あとは、服じゃないですけど、バリバリの財布もやめましょうって言いたい。
山本:チェーンがついてたり。あれ、バリバリっていう音にびっくりします。
MB:ファッションに興味がある人でもたまに持ってらっしゃるんですよね。「ブランドものだからおしゃれなんだろう」って買っちゃうみたいで。でも大人として、バリバリはないだろうって。
山本:デートで持ってたらいやです(笑)。
ロゴT、デザイン入りパーカー、カラフルチェックシャツ、そしてバリバリ財布……ちまたでよく見かけるアイテムにも落とし穴が。むろん、それらすべてがNGなわけではないと両氏は口を揃えるが、何も考えず手にしていたのなら、雲行きは怪しそうだ。ではナニを着ろと言うのか? そう思った方は次回の対談、両氏が提案する「着るべきアイテム」「ユニクロでも買えるおしゃれアイテム」の回もぜひご一読いただきたい。たかがおしゃれ、されどおしゃれで人生が、少なくともモテ度が変わることはうけあいである。 <取材・文/ありまみほ 撮影/難波雄史>
【山本あきこ】
スタイリスト。証券会社、アパレル販売を経て、女性誌の専属アシスタントに。26歳で独立し、雑誌、広告などのスタイリングを手掛ける。これまでにつくってきたスタイルは1万コーディネート以上。近況や個人向けのサービスはブログ『Roccostyle.』にて紹介。2015年4月に発売した書籍『いつもの服をそのまま着ているだけなのになぜだかおしゃれに見える』(ダイヤモンド社)がロングセラーに
【MB】
メンズファッション専門のバイヤー(@MBKnowerMag)。年間数十のブランドの展示会に足を運び、買いつけを行う。年間取引量は億を超える。子供の頃から“狂うほど”洋服が好きで、ファッション業界に知悉している。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法(www.neqwsnet-japan.info)」が話題に。また、メルマガ「最も早くオシャレになる方法(www.mag2.com/m/0001622754.html)」では、「安くてオシャレになるアイテム」を紹介し即完が続出。「まぐまぐ大賞2014年【有料部門】ライフ」にて大賞受賞。ニコニコ動画ではブロマガと生放送「MBチャンネル」もスタート。女子SPA!でも「レディースファッション」に関するコラムを連載開始。ファッション誌では読めない歯に衣着せぬ言説が注目されている。自身のブランド「MB」にてスキニーパンツを発売したところ、5分で完売! 9月17日に初の著書『最速でおしゃれに見せる方法』を扶桑社より発売
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