中川淳一郎さん ソー活のバカを語る
―[ソー活で加速する残念な就職格差]―
2011年はソー活元年。そんなかけ声がメディアやネットを騒がしている。ソー活とは、facebookやTwitterを中心とした“ソー”シャルメディアを活用し、“双”方向で行なう就職(採用)活動のこと。学生の就職難と企業側の採用難を背景に、双方のミスマッチ解消のために広がりを見せているという。
◆一般常識のない学生がSNSを使うとどうなるか?
SNSを使った就職活動。ウェブ能力の高さも評価の一環になっているということなのだろうが、この実情に対して、ウェブ事情に詳しいネットニュース編集者の中川淳一郎氏はどう捉えているのか。
「『いかにSNSが使いこなせているかどうか』よりも、その学生の『学歴』のほうが企業にとっては絶対に大事。だって、多少ネットが使える学生よりも、東大医学部の学生のほうがいいでしょ? それを、まず前提として学生は把握しておくべきです。もちろん、なかにはSNSでのスキルを重要視するIT系の企業も存在します。実際、2年前には、ECナビというIT企業が、採用をTwitterでしか受け付けていませんでした。でも、昨年はこの採用制度をやめていたので、この採用方法では多分あまりいい学生が集まらなかったんじゃないですかね」
確かに、SNSを使いこなせる学生ほど優秀だというのなら、もっと多くの企業が踏襲しているはずだが、その気配は見当たらない。そして、もうひとつのソー活の問題点として中川氏が指摘するのは、「学生の未熟さ」だ。
「学生は基本的に一般常識がない。先日も、某有名大学の学生からメールをもらったんですが、敬語は使えてないし、なぜか俺のことを“中川氏”呼ばわりするし……。でも、これは別にこの学生が悪いんじゃなくて、学生なんてみんなこんなもの。ただし、大人がその文章を見ればすぐに『こいつは一般常識がないバカだ』とわかってしまう。SNSを通じて、その無知さが可視化されてしまうんだから、自信のない人はむやみに手を出さないほうが無難ですよね」
実際、ここ数年、一般常識が欠如した大学生や新卒社員がネット上で飲酒運転や喧嘩などの自分の「やんちゃぶり」を告白したり、他人への誹謗中傷をつぶやいてしまうことで、炎上し、問題に発展するケースが増えている。
「もちろん、一部には一般常識をよく理解している優秀な学生もいるので、彼らにとってSNSは自分の優秀さをアピールするすごくいいツール。ただ、一方の普通の学生にとっては、企業に自分のバカさ加減を見せて『あらさがし』をさせるツールでしかない。せいぜい『就活の友達探し』『企業の情報収集』ぐらいしかメリットはないんじゃないでしょうかね」
少数の優秀な学生はともかく、大多数の学生にとっては、企業からの「あら探し」ツールになりそうなSNS。今後、下手に手出しすると、高いリスクを背わせられ、苦労させられそうな気もするが。
― ソー活で加速する残念な就職格差【7】 -
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